現在、スマートフォンに注目しているのは、ガジェットが好きでPCにも馴染んでいる先進層だ。こうしたユーザーはAndroidのバージョンを気にする傾向が強いが、層が広がってくれば、バージョンを細かく気にするユーザーも相対的に減っていくだろう。そうすれば現在の携帯電話のように、安定したバージョンのOSを使用し、ソフトウェアを作り込んでカスタマイズできる余地も大きくできる可能性考えられる。
吉高氏は、今後ユーザー層の変化にあわせて、ローエンドのスマートフォンに旧バージョンのAndroidを搭載し、作り込むという可能性も考えられなくはないとしている。だが今の段階では、Androidのバージョンに敏感なユーザーが多い。しかも先程触れた通り、いつ画期的な機能が追加されるかなど、バージョンアップの計画が事前に知らされているわけではない。それゆえ一度作り込んでしまったものは、新しいバージョンにあわせてまた作り込まなくてはいけなくなるなど、リスクを伴うことでもあるという。
端末の形状についても、Androidが大きく影響しているようだ。003SHはフルタッチタイプ、005SHはそれに加えてQWERTYキーボードを搭載したものだが、テンキーを搭載した端末は投入されていない。その大きな理由は、吉高氏は「Androidの標準規定にテンキーへの対応がなく、フルタッチやQWERTYキーの端末以外は想定されていなかったから」という。独自に作り込むことも不可能ではないが、規定に準じていない場合、バージョンアップで一から作り直す必要が出てくる。それゆえ、Android搭載機を初めて商品化するという段階で、規定にないスタイルの端末を出すのはハードルが高かったと明かした。
Androidの開発をするのも、Googleとやりとりをするのも初めてだったことから、規定をどう守るべきか、規定にないものをどう加えていくかなど、探りながら開発を進めていく必要がある。今後の動向を見ながら端末のバリエーションを考えていきたいとしている。
003SH、005SHはデザイン面においても、日本仕様を意識した展開をしている。ミラノレッド、ネイビーブラック、ホワイトの3色を用意するほか、“Limited Color”と呼ばれるカラフルな別売りのバッテリカバーも10色用意されている。
だが、フルタッチタイプのデバイスで難しいのはデザインだ。吉高氏は、「外観で選ばれる以上、他の端末と似通ってしまうのは、ある程度覚悟する必要がある」としながらも、カスタマイズなどで何らかの特徴を出していく必要があると話す。
そしてもう1つ気になるのは、003SHと005SHがシャープの“GALAPAGOS”のブランドを冠しているという点だ。発売時点ではGALAPAGOSで展開するサービスに対応しているわけではないのだが、なぜスマートフォンにGALAPAGOSブランドを付けることとなったのだろうか。
シャープとしては、GALAPAGOSはハードとサービスの両軸で展開するというコンセプトから、それにつながる端末にはすべてGALAPAGOSブランドを付けていきたい考えがあるという。吉高氏によると、ソフトバンクモバイルにGALAPAGOSブランドの使用を申し出たところ、同社から了承を得られたからだと説明した。
なお、GALAPAGOSが展開するサービスも、今後シャープ製のスマートフォンで利用できるようにしていくとしている。
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