富士通研究所は9月13日、ワイヤレス給電を可能にする解析、設計技術を開発したと発表した。「磁界共鳴方式」を用い、携帯電話や複数のモバイル機器への同時給電を実現するという。
発表されたのは、コイルを共振器として使い、磁界の共鳴により電力を伝送する磁界共鳴方式。同じく磁界を用いたワイヤレス給電技術である「電磁誘導方式」に比べ、送電距離が長く、複数の機器へ給電できることが特長だ。
富士通研究所は「送電力は小から中程度と、電磁誘導方式より少なくなるが、総合的に考えると将来有望である」とし、応用性のある磁界共鳴方式の技術を開発したとしている。
開発されたのは、異なる大きさのコイルを用いた複数の送受電デバイスを一度に正確かつ高速に解析する技術と、狙った共鳴条件に対して正確な設計条件を自動的に求めることができる技術の2つ。これにより、送受電デバイスが1対1の場合から、大きさが異なる複数の場合にまで対応するワイヤレス給電が可能になったという。
同社では、開発したワイヤレス給電システムの適用例として、薄型受電デバイスを内蔵した携帯電話の試作機を2台展示。送電デバイスと受電デバイスの距離は15mmで、伝送効率は85%としている。満充電までの時間はケーブルでの充電時とそれほど変わらないという。
あわせて応用例として、離れた位置に置かれたモータと電球を動かす、複数同時給電についても展示した。
今後は、モバイル機器におけるワイヤレス給電システムを、2012年をメドに実用化していくとのこと。また、電力送電や電気自動車のような移動体への給電などにも幅広く適用を検討するとしている。
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