新たな携帯端末向けのマルチメディア放送サービス「MediaFLO」の標準化や普及を目指す団体「FLOフォーラム」が3月31日、「Mobile Media Summit 2010」を開催。2011年7月のアナログテレビ放送停止後に空いた周波数を使って、MediaFLOサービスの展開を目指すメディアフロージャパン企画の代表取締役社長、増田和彦氏は、「すでに導入されている米国をはじめ、台湾、南米などさまざまな地域で導入が検討されているMediaFLOは実質的なグローバルスタンダード」とし、周波数の割り当てを求めた。
アナログテレビ放送跡地を利用したマルチメディア放送サービスについては2月、申請できる帯域幅を1事業者分の14.5MHzと総務省が指針を示したことで、これまであった複数事業者の併存案が消滅した。これにより、MediaFLO方式を推すKDDI・クアルコム陣営のメディアフロージャパン企画、ISDB-Tmm方式を推すNTTドコモ陣営のマルチメディア放送など、免許取得を目指す事業者の動きが活発化してきている。
ワンセグ(ISDB-T)と放送方式の異なるMediaFLOの場合、早くから端末開発などの面で課題が指摘されてきた。しかしワンセグと共存できるチップを独自開発するなど技術力の高さを見せて、これをクリア。その上で低消費電力性能、周波数の効率的利用などISDB-Tmm方式に対する優位性をアピールしている。
沖縄ユビキタス特区の実証実験向けに対応端末を開発した京セラ機器研究開発本部 MediaFLOプロジェクトリーダーの井上仁志氏は「(ワンセグとの)複数方式混在にも問題はなく、今すぐ実用化できるレベル」と自信を見せる。また、MediaFLOが世界的に採用の検討がなされている点についても触れ、「量産効果による消費者、そして携帯電話ベンダーへの恩恵は大きい」とした。
今後の見通しについて、増田氏は「4〜5月に受託放送事業者の受け付けが開始され、早ければ7月には審査結果が確定するだろう」と予測。委託放送事業者(番組提供者)を含むすべての枠組みは年内か、遅くとも年度内には確定するとし、残された時間も全力で周波数獲得に臨むとした。
当日のイベントには、米Qualcommチェアマン兼CEOのポール・E・ジェイコブス氏をはじめ、各国から多くのMediaFLO関係者が出席。台湾、ブラジルでのMediaFLO採用を目指す事業関係者からは「自国で実施のあかつきには(端末、コンテンツなどの面で)日本との連携を望む」との声が寄せられていた。
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