UPDATE Appleは、同社の保有する「iPhone」に関連した20の特許を侵害しているとして、携帯電話メーカーのHTCを提訴し、米国際貿易委員会(ITC)に訴状を提出した。
Appleの最高経営責任者(CEO)であるSteve Jobs氏は、米国時間3月2日に声明を出して「われわれの生み出した特許技術を対抗企業が盗用していくのに対し、ただ黙って見守っておくことも、何らかの行動を起こすことも可能である。だが、われわれは立ち上がって行動する決断を下した。競争行為は健全なことだと考えているが、あくまでも対抗企業は独自の技術を生み出すべきであり、われわれから盗み出したりするべきではない」と述べた。
AppleがHTCによって侵害されたと主張している特許は、iPhoneのグラフィカルユーザーインタフェースや、iPhoneのハードウェアならびにソフトウェア設計と関連したものが含まれている。Appleは、HTCが特許を侵害している疑いのある製品を米国内に輸入して販売できないようにする恒久的な差し止め命令を求めている。また、詳細な金額は明らかにされていないものの、損害賠償の支払いも求めていることが明らかにされている。
一方、HTCは、今回の法的な措置に関して、まったく不意をつく提訴であるとの見方を示している。同社は2日に入って声明を出し、提訴については、報道およびAppleのプレスリリースを通して知るに至ったに過ぎないと語っている。同社は、現在訴状を精査している段階であると述べた。また、同社の広報担当は、訴状の内容を十分に検討し終わるまでは「HTCに対してなされている主張の妥当性に関してのコメント」を出すことはできないと語った。
「HTCはモバイル技術における革新を推進する企業であり、これまで13年に渡って、最も革新的なスマートフォンを数多く製造することに大いに注力し、特許を保有する企業でもある。HTCは特許権と特許の施行を尊重しているが、独自の技術革新を擁護していくことも固く約束する」と、同社は声明で述べている。
2007年1月の発売時にiPhoneは、短期間のうちに技術および文化の両面において標準となっていったが、これまでAppleは、iPhoneに関する特許権侵害を複数経験している。しかしながら、HTCに対する今回の訴訟は、事前に通告することなく他の携帯電話メーカーに対して特許侵害訴訟を仕掛けたという点では、まさに最初のものとなる。
また、Appleが今回の訴訟において、いわゆる「iPhoneのキラー製品」となる携帯電話を製造する、Motorola、Samsung、Palmなどの他のメーカーではなく、HTCをターゲットに定めてきたのも興味深い点である。
別の興味をそそられる点としては、Appleが訴状の中で、ソフトウェアメーカーのGoogleやMicrosoftの企業名を一切出していないことである。Appleは、ITCに提出された訴状において、同社の特許を侵害していると主張する12種類の携帯電話を列挙している。そのうち、Googleが直接販売する「Nexus One」を含む5種類の携帯電話では、GoogleのAndroid OSが搭載されている。さらに、訴状に挙がった7種類の携帯電話には、Microsoftの「Windows Mobile」OSが搭載されている。
今回の提訴は、デラウェア州の米連邦地方裁判所とITCの両方でなされた。しかし、いずれの訴状においても、被告の名前にはGoogleもMicrosoftも挙がっていない。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
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