突然の発表だったが、Adobe Systemsは米国時間10月5日、ついにFlashのプログラマーが、これまで高い関心を集めながらプログラミング技術を寄せつけなかったAppleの「iPhone」上で、Flashアプリケーションの対応を図れるようになると明らかにした。
とはいえ、Appleが制限を課しているため、多くの人々が利用しているウェブブラウザのプラグインという形でFlashが提供されるのではない。プログラマーは代わりに、現在はベータテストが実施されている、Adobeの「Flash Professional CS5」開発者向けツールを用いて、FlashアプリケーションをiPhoneのネイティブアプリケーションに変更し、Appleの「App Store」からダウンロード提供可能となる。
AdobeのFlash製品マーケティングマネージャーであるHeidi Voltmer氏は「これは適正な方向へと進む大きな第一歩である」と述べた。
このアプローチは、高度なユーザーエクスペリエンスを保つためにiPhoneのコントロールを厳しくしているAppleと、現在市場に出回るハイエンドなモバイル製品へと進出することを望む他の企業との間に緊張が生じていることを如実に示すものとなっている。
しかしながら、Adobeのバックドアからのアプローチは、Flashこそがインターネットをベースとするアプリケーションの主要な基礎になるとの認識を確立していきたい同社にとって重要な展開となった。Flashを専門とするプログラマーは、iPhoneおよび「iPod touch」向けのコーディングに精通していない場合でも、今回のAdobeの手法ならば、容易にFlashアプリケーションをiPhone上で提供できることに気づくだろう。
Appleは、この件に関して現時点ではコメントを出していない。
Flash Professional CS5のベータテストには、BlueskyNorth、Breakdesign、FlashGameLicense.com、Muchosmedia、PushButton Labs、Bowler Hat Gamesなどが参加しており、同技術の試用を進めている。
Bowler Hat Gamesの創設者であるJosh Tynjala氏は「Flash Professional CS5のベータ版で提供されているiPhone向けアプリケーション作成性能により、新しいプログラミング言語および付随する膨大な開発ツールの習得が求められることすらない。その代わりに、より多くの時間を費やして、もっとiPhoneなどのモバイル製品で『Chroma Circuit』のようなゲームを楽しめるように開発を続け、事業の売り上げを増やせるようになる」と語った。
Adobeの究極の目標は現在も変わっておらず、Flashを「Safari」ブラウザに統合してiPhoneで提供することが目指されている。同社最高技術責任者(CTO)のKevin Lynch氏は、インタビューに応えて「ただ1つのウェブのみが存在するということこそ私の願いである」と述べた。5日にロサンゼルスで開かれた「Adobe MAX 2009」カンファレンスにおいて、Lynch氏が基調講演を行い、AdobeはFlashアプリケーションのデモンストレーションを実施した。
2009年内にベータ提供が開始され、2010年前半に製品版の提供が予定される「Flash Player 10.1」は、「Google Android」「BlackBerry」「Windows Mobile」「Palm webOS」「Symbian OS」といった、あらゆるスマートフォンのプラットフォーム向けに普及が目指される。
なぜiPhoneは例外なのであろうか?Adobeは声明を出して「AppleのiPhoneソフトウェア開発キット(SDK)は解析コードの実行を許可しておらず、それゆえにAdobeは、AppleからのサポートなしではiPhone上のSafariでFlash Playerを提供することができない」と述べている。
Voltmer氏は、iPhoneへダイレクトにFlash Playerを組み入れることを前提にして、Appleと進められている協議についてはコメントしなかった。だが、Adobeのウェブサイトを訪れる人々は、それを望んでいると、同氏は明らかにしている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」