米CNET Newsが入手した情報によれば、Microsoftは米国時間8月12日、新たにNokiaと提携して、Nokiaの携帯電話に「Office」ソフトウェアを搭載していくサポートを提供する発表を行う予定であるという。
Microsoftは、Officeの次期バージョンで、生産性ツールの市場においてデスクトップを制している現在の状況から、PC、ウェブ、携帯電話を幅広く結ぶ分野へと進出を図ろうとしており、今回の提携は、とりわけ携帯電話分野への進出における重大な展開とみなされている。
すでにMicrosoftは、Officeの次期バージョンにおいて、「Word」「Excel」「PowerPoint」「OneNote」のブラウザ版を提供する計画であることを明らかにしてきた。Officeのブラウザ版は、Microsoftの「Internet Explorer(IE)」に加えて、「Safari」および「Firefox」上で動作することになっており、Officeが、初めてLinuxを搭載するPCにも対応するようになることを意味している。
一方、Microsoftは携帯電話向けに、さまざまなモデルで「Office 2010」のドキュメントを表示することが可能になると示唆してきた。これまでのところ、ネイティブでOfficeを搭載可能な唯一の携帯電話は、Microsoftの「Windows Mobile」をOSに採用する携帯電話に限られている。
多くの人々が情報にアクセスする手段として多彩なデバイスを活用するようになり、もはやPCはその一手段に過ぎないという状況が顕著になってくるのを受けて、Microsoftは、市場シェアやコネクティビティを維持するべく、Officeのフランチャイズ強化を図れる分野を探っている。また、WindowsとOfficeからの売り上げが多くを占めるMicrosoftにとっては、同社の好調な業績にOfficeが欠かせない存在である。
Microsoftは7月に、Office 2010のテクニカルプレビュー版をPC向けにリリースしたものの、ブラウザ版のテスト公開は、まだ現時点では開始されていない。Office 2010の最終製品版は、2010年に発売される予定である。
これまでNokiaとMicrosoftは、携帯電話事業においては長くライバル関係にあったものの、時に両社は提携関係を結んできた。すでにNokiaは、Microsoftの「ActiveSync」プロトコルを用いて、同社製の携帯電話から「Exchange Server」へと接続できるライセンスを取得している。Microsoftも、2007年にNokiaと提携し、「Windows Live」の各種サービスをNokiaの携帯電話に対応させてきた。
今回の新たな提携では、欧州市場におけるNokiaの存在に加えて、Appleの「iPhone」、RIMの「BlackBerry」、Googleの「Android」をOSに採用する新たなデバイスなど、多方面からの厳しい競争に対して、どのような位置づけでWindows Mobileを展開していくのかに関しても、Microsoftが模索している状況であることを示唆するものとなっている。
Officeを他のモバイル機器にも新対応させていくことは、同事業の拡大という面では助けとなるものの、それは同時に、Officeへダイレクトに対応するというWindows Mobileの優位性の一面を取り去ることにもなってしまうだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」