大人がハマるケータイゲーム「位置ゲー」、その魅力とは

永井美智子(編集部)2009年04月17日 19時08分

 「位置ゲー」という言葉をご存じだろうか。携帯電話のGPS機能を使ったゲームの総称で、2003年からこのジャンルのゲームを提供しているコロプラが提唱している呼び名だ。最近ではマピオンの「ケータイ国盗り合戦」や本田技研工業の「ケートラ」など、複数のゲームが登場している。

 20代から30代の男性ユーザーが多いという位置ゲーの魅力はどこにあるのか、またどのような可能性を秘めているのだろうか。4月3日に東京都内で開催された位置情報サービスに関するイベント「第3回 ジオメディアサミット」において、マピオンのケータイ国盗り合戦プロデューサーである加藤隆志氏と、コロプラ代表取締役コロプラGM(ゲームマスター)の馬場功淳氏が登壇した。

ユーザーの70%が都心で働く大人たち

ケータイ国盗り合戦 「ケータイ国盗り合戦」

 ケータイ国盗り合戦は、2005年からマピオンが提供している、GPS機能を使ったスタンプラリーのような無料ゲームだ。日本全国の地域が600の「国」に分かれ、ユーザーはそれぞれの国で位置登録をすると、「国盗り」ができる。国盗りをした数が増えると称号が増え、ゲーム内での地位が上がる仕組みだ。また、戦国時代にちなんだクイズが日々出題され、正解するとアバターアイテムが買える仮想通貨「コバン」が貯まる。

 もともとは、自社で提供している地図サービスをもっと使ってもらうために、「ユーザーのお出かけシーンを増やす」(加藤氏)ことを企画したのだという。NTTドコモの位置情報取得機能「iエリア」が全国300カ所に区分されていることから、「これを使ってスタンプラリーをしたら面白いのではないか」と思いついてサービスを始めたとのこと。これが好評だったことから2008年に正式版となり、日本全国を600カ所に細かく区切ることにした。

 「離島まで行くユーザーもおり、ゲームとしてはかなり壮大。ユーザーは自分が国盗りした結果を見て“うっとり”する」と加藤氏は笑う。実際、600カ所を制覇したユーザーは60人以上いるのだという。

 「位置情報は必ず思い出とひも付いているだろう」(加藤氏)という想定のもと、自分の訪れた地域についてそれぞれコメントを付ける機能も用意している。

 ユーザー数は3月26日時点で18万人。1週間以内に利用した人の割合は60%と、こまめに利用しているユーザーが多いようだ。男女比は6対4で、35歳以上が全体の33%を占める。逆に、19歳未満は4%しかいない、いわば「大人のゲーム」なのだ。職業は会社員が50%、居住地は東京都が33%を占め、「都心で働くビジネスパーソンが約70%」(加藤氏)だという。

 これは、全国を巡るゲームのため、「お金に余裕がないとできない」(加藤氏)ことが影響しているようだ。暇つぶしというより、出張や仕事の外出時などに楽しみたいというニーズに合っている。

「日本にこんなところがあったんだ」という気づきを

 ケータイ国盗り合戦では現在、他社と提携したタイアップ企画に力を入れている。2008年末から2009年初頭にかけては、東日本旅客鉄道(JR東日本)と組んだ「天狗様の武者修行」というキャンペーンを実施した。これは、指定された全国15カ所の神社や仏閣を巡ると、仮想通貨やアバターアイテムなどがもらえるというもの。

マピオン ケータイ国盗り合戦プロデューサーの加藤隆志氏 マピオン ケータイ国盗り合戦プロデューサーの加藤隆志氏

 「ケータイ国盗り合戦はユーザーをどこかに連れて行くサービスなので、電車に乗ってJR東日本の駅に行ってもらおう、と考えた。ただ、電車では戦国っぽくないので(笑)、駅の近くにある神社仏閣に行くというイベントにした」(加藤氏)

 また、指定された15カ所を巡れるコースを「攻略奥義」と称して、JR東日本のきっぷを紹介した。参加者は約4万6000名で、1都9県にあるすべての指定個所を訪れた人が662人いたという。参加者の平均移動距離は102kmとなった。

 このほか、ぐるなびと組んだ企画「わがまま姫の晩餐会」も2008年秋に実施した。これは、ぐるなびが加盟店の店頭に置いている情報端末「ぐるなびタッチ」をケータイ国盗り合戦のユーザーが利用するとイベントに参加できるというもの。JR東日本とのキャンペーン同様、訪れた店舗数に応じて仮想通貨などがもらえる。このときの参加者数は7461名で、ぐるなびタッチの利用総数は3万回にのぼった。1人で300回利用した人もいたという。「熱心なユーザーがたくさんいる」(加藤氏)

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