モバイルWiMAX方式による高速無線インターネット接続サービス「UQ WiMAX」を2月26日に開始したUQコミュニケーションズ。同社では、モバイルWiMAXのサービスを「モバイルブロードバンド」とは呼ばず、あえて「フューチャーブロードバンド」という言葉で表現している。
そこには、第3世代携帯電話網(3G)を利用する既存のデータ通信サービスとは異なる、新しい考え方の下にブロードバンドサービスを提供したいという意図が込められているという。同社はモバイルWiMAXを利用してどのような世界を実現しようとしているのか、代表取締役社長の田中孝司氏に聞いた。
(直接寄せられる声だけでなく)先進的なユーザーの方々がブログなどで書かれている感想を私も拝見していますが、速度に関してはおおむね満足いただいているのではないかと思います。基地局セルのギリギリ端にある場所などでなければ、モバイルWiMAXは3Gの数倍の速度は出ますからね。明らかに、あとはサービスエリア展開の勝負です。速度も、チューニング次第でもっと良くなると思いますので、本サービス開始の7月までに細かい改善を加えていきたいと考えています。
東京23区、横浜、川崎でスタートしましたが、横浜と川崎は全体的にカバレッジが若干薄いです。また23区内でも、地権者の方との交渉が遅れて基地局が設置できないといった理由でポッカリ空いているエリアがあります。まずはこういったところで、既存の基地局と基地局の間に新しい基地局を設置し、穴を埋めていく形になります。平行して東京、神奈川以外でも工事を進め、6月末までにはサービスエリアを名古屋、大阪にも、2009年度末には政令指定都市にまで拡大していきます。
実は、既に東京、神奈川以外でも工事を始めています。それらの中には既に開局している基地局も存在しますので、あとはどれだけ早く基地局を展開できるかという工事力の問題です。ただ、東京、神奈川以外の基地局は試験などで電波を止める可能性もありますので、まだサービスエリアとは呼べるものではありません。ですので、それらのエリアは現時点ではホームページなどでの公開はしていません。
2.5GHz帯の電波を使用していますので、一般論として、800MHz帯などに比べて屋内への浸透が悪いのは確かです。ただ、我々も初めて扱う周波数と通信方式なので、まだ十分な知見が蓄積できていない部分もあります。例えば、部屋の奥のほうがつながりやすい、基地局と反対側の部屋のほうが速い、基地局からかなり遠いのに速いといったケースも発生しています。また、これは我々に限った話ではなく既存の携帯電話でも同じですが、高層マンションなどの高い場所だと、たくさんの基地局からの電波が届いてしまい干渉が問題になることもあります。
ただ、現在のサービスエリア内だけでも6月末までに基地局数は倍増しますので、有料サービス開始までには十分なカバレッジにできると考えています。また、お試し期間中も施工が完了した基地局から順次開局していきますので、「ある日突然速くなった」と感じることがあるかもしれません。
主要なターゲット層が2つあります。1つは、固定のインターネット接続をワイヤレスで済ませてしまう人たちです。最近は、一人暮らしの学生などでは固定電話を引かない人も増えていますので、ADSLの代わりとしての需要があります。もう1つのターゲット層は外出先でノートPCを使うビジネスパーソンです。これまでのデータ通信カードでは、固定回線に比べて速度に不満を感じることもあったかと思いますが、モバイルWiMAXでそれを解決します。こういった方々が、我々の最初のお客様だと考えています。
ただ、例えばメールの送受信など特定の用途に特化するのであれば、別に外でPCを広げる必要はないわけです。ノートPCは小型になったとはいえ、常時携帯するにはまだ大きいですよね。最近はスマートフォンが出てきていますが、加えてモバイルインターネットデバイス(MID)と呼ばれるような「携帯電話+α」のサイズの機器が広がっていくのは時間の問題だと思います。
また、ゲーム機、カメラ、カーナビ、デジタルサイネージといった分野の機器では、モバイルWiMAXを搭載することで、これまで低速なネットワークではできなかった新たなことができるようになります。
整理すると、固定とモバイルという2種類のPC市場があり、その次にMIDのような新しい情報機器の市場があり、さらに特定用途向けの組み込み市場がある。モバイルWiMAXの適用分野としては、だいたいこのように分類できると思います。
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