Googleは米国時間2月18日、ウェブアプリケーションがモバイル分野への進出を重視していることを示すものとして、ネットワークに接続していない時でも使用できる、iPhone向けの「Gmail」最新版を披露した。
Googleのエンジニアリング担当バイスプレジデントであるVic Gundotra氏は、バルセロナで開催のGSMA Mobile World Congress 2009において、iPhoneがオフライン中でも使用可能な、同氏が「テクニカルコンセプト」として紹介した、Gmailのデモンストレーションを行った。Googleは1月、デスクトップおよびノートPC向けに、Gmailのオフライン機能をリリースしたが、今回の携帯電話向けオフライン機能も同様に、ネイティブアプリケーションとしてではなく、ウェブブラウザ上で動作する。
Gundotra氏は、iPhoneのワイヤレス接続を無効にする機内モードに切り替えても、Gmail内のメールを閲覧して読めることを示してみせた。このデモンストレーションを見るには、iPhone Buzz上のデモビデオをチェックしてほしい。
オフライン機能では、当然ながら、ネットワークから新しいデータを取得することができないものの、再びネットワークに接続した時に、同期するようになっている。一方、オンライン中でも、メールは携帯電話上のローカルデータベースに保存される。
Gundotra氏は「このローカルデータベースの使用によって、Gmailの動作は、非常に高速になっていることに気づくだろう」と述べた。今回披露されたGmailでは、受信箱をスクロール中に、浮き上がって表示されるツールバーなども紹介された。
Googleが、iPhone向けに、ウェブベースのGmailアプリケーションの新バージョンを検討していることには、いくつかの理由で意義深いものがある。まず、Googleは、iPhone上でもGmailの全機能、たとえば、 検索、ラベル分類、スレッド機能なども提供したいと考えている。Appleがデフォルトで提供している、iPhoneのメールアプリケーションには、こうした機能が搭載されていない。しかしながら、より広義には、ウェブベースのアプリケーションによって、AppleやMicrosoftなどの特定の企業がコンピューティング技術に課す制限を回避できることを示したという点でも、大いに意義がある。
Appleは、iPhoneおよびiPod touch向けのソフトウェアをダウンロード購入できる「App Store」で、大きな成功を収めてきた。しかしながら、同社は、App Storeに制限をかけており、iPhoneやiPod touch向けに限定して開発されたソフトウェアのみが並んでいる。一方、ウェブアプリケーションであれば、ウェブブラウザ上で動作することになり、すべてのスマートフォンには、ブラウザが搭載されている。もちろん、ハードウェアやネットワークの制約により、デスクトップアプリケーションと比較して、ウェブアプリケーションは貧弱になりがちではある。
とはいえ、ウェブアプリケーションの力は、利用者に制限を加えるものとならないことを示す例として、Gundotra氏は、Googleの「Android」OSを搭載した、新たな携帯電話「HTC Magic」上でも、(iPhone向けに開発されたものと)同じGmailソフトウェアが動作することを証明してみせた。
Gundotra氏は「新しいHTML 5のウェブブラウザの最新仕様を実行できるデバイスであれば、どんなデバイス上でも動作するアプリケーションの構築が可能になった」と語っている。
Gmailソフトウェアの携帯電話バージョンは、オフライン機能の提供に、やや異なるアプローチを採用している。
デスクトップバージョンでは、Googleが開発した、「Gears」と呼ばれるオープンソースのブラウザプラグインが採用されているものの、iPhone向けのバージョンは、ウェブページの記述に徐々に用いられるようになってきた、HTML 5のオフラインデータの保存に関する標準に準拠している。この技術標準により、アプリケーションの状態や、メッセージなどのデータのキャッシュが利用可能となる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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