インターネットが地理的な障壁を取り除く役割を果たしたからといって、Googleが地理を無下に扱っているなどと決め込まないほうがよいだろう。
Googleは米国時間2月4日、携帯電話ユーザーが、親しい友人などと、現在位置に関する情報共有を可能にする新サービス「Google Latitude」を発表した。Googleは、人々が外出中も、互いの居場所を確認し合い、親しい仲間の状況をつかむ支援をしていきたいと考えている。
Google Latitudeの製品マネージャーであるSteve Lee氏は、「Google Latitudeによって、自分の現在位置情報を友人や家族と共有したり、友人や家族の現在位置情報をチェックしたりすることが可能になる」と述べた。たとえば、ガールフレンドは、すでにボーイフレンドが約束のレストランに到着しているかどうかを確認できるようになり、もしまだなのであれば、あとどれくらいで到着しそうかをチェックするためにも活用可能である。
プライバシーを保護するため、同サービスを利用するにはサインアップが求められる。正確な現在位置情報を共有することもできるし、滞在都市のみを知らせる、まったく何の現在位置情報も共有しないなどの選択も行えるようになっている。
Lee氏は「これまでのテストで判明したのは、最も一般的な利用スタイルとしては、人々が互いに情報を共有し合う、シンメトリックな設定が多いようである」と語っている。
Google Latitudeは、同社の地図情報および位置情報に関するテクノロジを駆使したものとなっている。位置情報は、実生活でも、ナビゲーションを提供する上で重要不可欠であり、明らかにGoogleは現在、主に仮想世界の領域であるインターネット上で同社のサービスを利用している顧客とのよりパーソナルなコネクション確立を進めるべく、地理的サービスを提供していきたいと願っている。そして、当然のことながら、ここには金銭面での売り上げも関係してくる。Googleは、同社のマッピング技術が位置情報をベースとする広告売り上げへとつながっていくことに期待している。
Googleの威力は、検索および検索広告の分野で大いに発揮されてはいるものの、同社はより広範囲に及ぶオンラインサービスへの進出を願っている。すでに同社は、オンラインのドキュメント共有サービスやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)への進出を果たしており、よりパーソナルなサービスの提供で、MicrosoftやFacebook、Yahooなどの対抗企業との直接的な競争さえ展開するようになっている。「Google Profile」上で、特定のコンタクト先と情報交換が進められるように、Google Latitudeでは、ソーシャルグラフという観点から、だれがどのような位置関係にあるのかが一目瞭然となる。
Google Latitudeは、同社が携帯電話向け地図ソフトとして提供している「Google Maps for Mobile」の一部となり、「iGoogle」でカスタマイズされるホームページ上にロードされたガジェットからも利用可能となる。Google Latitudeは、当初は27カ国で提供が開始されると発表されている。
まずは、カラー液晶ディスプレイを搭載するほとんどのBlackBerryのスマートフォンが対応するほか、「Windows Mobile 5.0」以降の大半の携帯電話、NokiaのスマートフォンなどSymbianベースのデバイスの多くで利用できる。「T-Mobile G1」携帯電話向けに現在配布中であるGoogleの「Android」OSの最新アップデートでもGoogle Latitudeが利用可能となり、Lee氏によれば、「ごく近日中に」iPhoneおよびiPod touchユーザーに対しても、対応がアナウンスされる予定であるという。
Google Latitudeには、GPS衛星に加えて、携帯電話基地局やワイヤレスネットワークまでの距離などを活用し、ユーザーの現在位置を測定する同社が独自に開発を進めた技術が採用されている。
すでにGoogleが1月で提供を打ち切った「Dodgeball」では、いわば手動の「チェックイン」プロセスが採用されていたが、Google Latitudeでは、より自動化されたアプローチで位置情報の提供が行われる。
とはいえ、Google Latitudeに対抗する企業も存在している。たとえば、BrightKiteやLooptでは、携帯電話を用いて、互いの現在位置を把握できるメカニズムが提供されている。MobiFriends、Tripit、Dopplrなども、対抗サービスを提供中である。
ユーザーはまた、特定の相手から見えなくしたり、完全に姿を消したりすることが可能。さらに、特定の位置を手動で設定することもできる。誰かが近くにいる場合、電話をかけたり、電子メールやテキストメッセージを送ったりさまざまな方法で連絡することもできる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ
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