「世界で勝負をしたい」--そんな気概を持った日本のiPhoneアプリ開発者は少なくない。現地時間1月6日に開幕したMacWorld Expo 2009にあわせてサンフランシスコに渡った開発者たちは、展示会場近くのSix Apartのオフィスにて海外メディアに向け各自のアプリをアピールするイベント「日本製iPhoneアプリ開発者とブロガーの夕べ in SF」を開催した。
米国のiPhoneアプリ市場は日本の10倍近く大きいとも言われている。すでに1万本以上のiPhoneアプリがひしめく中、日本市場だけでなく海外にてアプリの知名度を上げることが参加者だけでなく日本でアプリを開発している人にとっての大きな課題となっている。そこでフリージャーナリストである林信行氏を中心に、日米シックス・アパートのスタッフら有志が今回のイベントを企画した。古い倉庫を改築したSix Apartのオフィスには多くの海外メディアが集まり、会場は満席となった。
当日プレゼンテーションを行ったのは、サン電子デジタルコンテンツ事業部の水野政司氏をはじめ、GClue代表取締役社長の佐々木陽氏、エイチアイ ミドルウェア開発部の高橋憲一氏、ジェイズアベニューCDOの今村哲矢氏、エヌフォー代表取締役CEOのリチャード・ノースコット氏、筆者(合同会社S21Gのサポートとして参加)、ユビキタスエンターテインメント(UEI)戦略情報グループの辻秀美氏、ロイヤルガジェット代表取締役社長の高浦二三康氏、コニット代表取締役の橋本謙太郎氏、ビースリー・ユナイテッド代表取締役社長の鈴木宏幸氏、JYProductの和田純平氏(発表順)の11組。法人を代表して参加した者だけでなく、個人の開発者が参加していたりと、さまざまなメンバーによる発表となった。
サン電子の水野氏はパズルゲーム「上海」を紹介した。同社はファミコン時代からゲームソフトを制作してきた老舗ゲームソフトメーカー。かつては米国にも進出していたが、在庫リスクなどの問題から近年撤退を余儀なくされていた。しかし、「iPhoneの登場により在庫リスクを気にせずにゲームソフトを海外展開できるようになった」(水野氏)。それがiPhone市場への取組みにつながったと語った。
続けてGClueの佐々木氏は「iKoto」と「Geisha」の2本のアプリを紹介した。iKotoは、琴をiPhoneで演奏できるという音楽アプリだ。単音だけでなく、複数の弦をはじいて複雑な音色を奏でることができる。会場で佐々木氏は米国国歌の「星条旗よ永遠なれ」を演奏するデモも披露した。一方のGeishaはその名の通り芸者の3Dモデルがスクリーン内で踊るというアプリだ。
このGeishaの開発で一役買ったのがエイチアイの3Dエンジンである「マスコットカプセル」だ。このエンジンでは、ゲーム機だけでなく、iPhoneやAndroidといった携帯端末プラットフォームでも共通のモデルを展開できると、同社の高橋氏は利便性を語った。
続けてエヌフォーのリチャード氏は各種の辞書アプリ、UEI辻氏は「ZeptoPad」「ZeptoLiner」のほか、書道アプリ「iShodo」を紹介した。また筆者は、日めくり手帳アプリ「Poke'Dia」を紹介した。
リチャード氏は「iPhoneでグローバル展開しながらも、ローカルな要素を大切にしていきたい」とコメント。比較的なニッチな言語同士の辞書アプリなども充実させていきたいと語った。筆者の行ったPoke'Diaのプレゼンでは、日本の手帳売場で多種多様な種類が販売されていることにも注目が集まったようだ。UEIのiShodoも海外プレスの関心が非常に高かった。
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