「ユーザーの隣にいる人の端末がドコモやソフトバンクモバイルでも、Bluetoothを使って一緒に遊べるような環境を作りたい」――KDDIコンシューマ事業統括本部コンテンツ・メディア本部コンテンツサービス企画部の竹之内剛氏は11月28日に東京都内で開催されたモバイルコンテンツに関するカンファレンス「MCF Mobile Conference 2008(mobidec2008)」において、ゲームなどのモバイルコンテンツに関する今後の戦略を明らかにした。
KDDIは現在、Bluetoothを使った対戦型のモバイルゲームに力を入れている。ユーザーが近くにいる人と気軽に遊べるほか、携帯電話のネットワークを使わないため回線に負荷がかからないという利点があるためだ。
現在はKDDIの端末同士で対戦ゲームをすることになるが、「キャリアごとにばらばらにやっていても、コンテンツプロバイダーの売り上げに限界がある」として、キャリア間で仕様を統一したいとした。「キャリア間で差がないように、両キャリアと相談しながら進めていく」という。
また、端末の機能を活用したゲーム開発も支援していく方針で、「カロリーカウンターを活用したものなどが考えられる」(竹之内氏)とのことだ。
KDDIの場合、ユーザーの73%がパケット定額制に加入しており、1人当たりのコンテンツ利用額も着実に増えている。デジタルコンテンツ利用額は2006年から2007年にかけて年率20%増で成長しており、特にコミュニケーション分野や電子書籍が好調とのこと。
電子書籍については月間流通量が年間で2倍にまで成長した。これまでは、すでに出版されている漫画を電子化して配信するケースが多かったが、今後はau限定のコミックなど話題作りを進めていくという。
その一環として開発されたのが、漫画「島耕作」シリーズとのコラボレーション端末だ。端末には、漫画内に登場する 初芝電器の「HATSUSHIBA」ロゴが入るなど、漫画の世界観を反映した端末は大きな話題となった。11月20日に予約を開始し、すでに1000台以上の申し込みがあるという。
「初芝ブランド最初で最後のケータイだ。初芝電器は五洋電機と合併するため、現在は新しいブランド名を募集しているので、来年には新しいブランドの端末が出るという世界観を一緒にやろうと話している。仮面ライダーの変身ベルトを買うような30代から40代のノリの良い人に向けて、リアルのコンテンツと商品を届けていく」
一方、動画コンテンツについては、出足が鈍いようだ。KDDIは現在、携帯電話で長時間の映画が見られるサービス「LISMO Video」を展開している。しかし、同社がユーザーの動画視聴時間を調べたところ、「10分以内が多く、複数の動画を連続しては見ない」という結果が出たという。「5分から10分の連続した動画を並べても見てもらえない」(竹之内氏)
このため、ユーザーが積極的に動画を見るような仕掛けとして、「コミュニケーションの要素を入れていくことを考えている」とした。ただ、詳細については明らかにしなかった。
KDDIならではの特徴として、竹ノ内氏はGPS機能を挙げた。同社の端末約3000万台のほぼすべてにGPSが搭載されており、今後はコンテンツプロバイダーにこの機能を開放していくという。「GPSとBREWの組み合わせを、コンテンツプロバイダーが使えるようにしていく。いままでは限定した条件下でしか提供していなかったが、もっといろんなコンテンツ使ってもらえるだろう。詳細は年内に案内できると思う」と話した。
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