Mozilla Foundationは携帯電話で使えるブラウザ「Fennec」を開発中だ。Firefoxと同じレンダリングエンジンを使い、ユーザーが好きな機能をブラウザに追加できるようにする。現在はアルファ版が公開されており、Nokia製端末「N810」およびPC上で動作させることができる。Fennecの担当者に開発コンセプトなどについて聞いた。
Fennecの開発プロジェクトが始まったのは、およそ1年前のこと。「ウェブの世界はPCからモバイルへと広がっている。ウェブをオープンで誰でもアクセス可能なイノベーションプラットフォームにする、というMozillaの使命を実現するためには、モバイル市場への参入が必要だと考えた」とMozilla Corporationのモバイル担当バイスプレジデントであるJay Sulivan氏は狙いを語る。
携帯電話向けのブラウザ市場は、ACCESSやOpera、Microsoftなどがすでに参入しているが、MozillaはFirefoxと同じように、ブラウザの機能をユーザーが自由に拡張できるアドオンなどにFennecを対応させることで差別化を図る考え。Fennecは10月に公開され、現在は入力したURLを正しいものに変換する「URL Fixer」と、「今日出たばかり」(Sulivan氏)という、URL入力窓からTwitterに直接投稿できる「TwitterBar」の2つのアドオンがある。
「モバイル版であっても、機能は妥協しない。Fennecはランタイムやウィジェット、Ajaxにも対応する」(Sulivan氏)
「Firefoxが成功した要因や考え方をFennecにも盛り込む」とSulivan氏は話す。具体的には、できる限りユーザーインターフェースをシンプルにするとともに、多言語対応も進めていく。Firefoxは現在60の言語に翻訳されているといい、Fennecも同じようにオープンソースソフト開発者の手を借りて多言語化したいとした。
「4年前、PCブラウザではInternet Explorerが市場のほとんどを占めていた。しかし現在、インターネットユーザーの5人に1人はFirefoxを使っている。製品とユーザーインターフェースに注力してきたからこそこれだけ成功した。モバイルでも同じだと思う」とMozillaでユーザーインターフェースを担当するAza Raskin氏は話した。
また、PC上でユーザーが使っているFirefoxとブックマークなどを同期する計画もある。Weeveという別のプロジェクトで開発している技術を使い、ブックマークだけでなく閲覧履歴なども共有できるようにするという。
ブラウザの提供方法については、端末へのプリインストール、キャリアへの提供、ダウンロード型の3つを考えているという。Windows Mobile版については、年末から2009年初頭の間にアルファ版をリリースする計画。iPhone版については、SDKの問題で難しいとのことだった。
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