G DATA Softwareは7月15日、2008年上半期におけるマルウェア数の急増と、スマートフォンにおけるウイルス状況についての速報を発表した。発表によると、2008年は例年以上にマルウェアが蔓延しているという。
G DATAによれば、1日平均で約1500件の新しいマルウェアが、Windowsユーザーに向けて放たれているという。その結果、この半年間で31万8000件もの新しいマルウェアが出現し、前年1年間に採集された数をすでに超えたとのこと。このまま同じ成長率でいくと、前年と比べて1年間で5倍以上の増加となる見込みだという。マルウェアの新種の発見数は7万5027件にのぼる。
特に、以前よりもウェブサイトに起因する脅威が著しく増加しており、新種マルウェアはネット銀行のアカウントやクレジットカードの登録情報、オンラインゲームのアクセスデータを狙っているとのこと。攻撃者はバックドアを利用することによってコンピュータに潜入可能となり、さらに新たなマルウェアを侵入させたり、ボットネットに組み込んでゾンビPCに仕立てたりする。
一方、大多数のスマートフォンのウイルスは、まだ実用性の高いものではないとG DATAは分析している。この6カ月で40ほどの新しいマルウェアが登場しているが、ほとんどが危険性のないものであった。2006年以降のスマートフォンのウイルスの総数も、2年半で115しかない。ブルートゥースに距離の制限があること、OSが多様であることなどから、ネット犯罪者の目標としては魅力がないとのことだ。
ただし日本ではすでに第3世代携帯電話(3G)が普及し、ウィルコムの「W-ZERO3」シリーズやソフトバンクモバイルの「iPhone」に注目が集まっている。日本ではスマートフォンは注目度が高いため、功名心による愉快犯だけでなく実際の利益を見込んだ攻撃が起きる可能性は否定できないとのこと。また、日本では安全に使用できる携帯電話が普及しているため、スマートフォンも同様に安全だと思い込みがちで、そこに犯罪者のつけいる隙があると指摘している。
G DATAによれば、スマートフォンの場合、各人が意識的にセキュリティ対策をする必要があるという。現在はWindows OSと比べてマルウェアの数が約1万分の1程度と圧倒的に少ないとはいえ、携帯電話と同じ感覚でスマートフォンを使用してはならず、セキュリティには注意するべきと呼びかけている。
G DATAではまた、今後もさらに新種マルウェアが増加すると予測している。特に北京オリンピックのような大きなスポーツイベントは、ネット犯罪者がもっとも好むものであり、イベントのはじまる頃に、観戦チケットや渡航、宿泊、観光に関連したメールを無差別に配布してフィッシングサイトへ誘導したり、マルウェアをダウンロードさせたりするような攻撃のおそれがあるとしている。
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