Appleは、以前からモバイルプロセッサ開発の将来を考えていて、ついに独自で道を切り拓くことに決めたのかもしれない。
New York Timesは米国時間6月10日、その前日の「Worldwide Developers Conference」(WWDC)基調講演後に行われた、Appleの最高経営責任者(CEO)Steve Jobs氏へのインタビューの内容を掲載した。並列処理や次期「Mac OS X」(開発コード名「Snow Leopard」)に関するとりとめのないやりとりが多くを占めるが、同社が2008年4月に買収した低電力チップ設計会社、P.A. Semiに言及した部分は注目に値する。「P.A. Semiは、『iPhone』および『iPod』向けのシステムオンチップ(SoC)を設計する予定だ」とJobs氏は語っている。
システムオンチップは、ほぼその名のとおり、1つのチップ上にプロセッサ、メモリ、グラフィックスプロセッサ、ネットワーク、消費電力などの管理に必要なすべての制御チップの機能を搭載した、完全なコンピュータシステムのことだ。Texas Instruments、Samsung、NVIDIAなどのARMアーキテクチャ採用メーカーは、iPhoneなどのスマートフォン向けにARMのプロセッサコアをベースにしたSOCを製造しており、Intelも「Atom」プロセッサファミリで同様の路線を採用したいと考えている。
Appleが自社システムに組み込むチップの設計について、長年にわたり積極的な役割を果たしてきたことはよく知られている。しかし、Dan Dobberpuhl氏が率いるP.A. Semiの買収は、Appleが今後、チップ設計においてさらに大きな役割を果たす模様であることを意味している。Jobs氏は以前、P.A. Semiを買収した理由について、同社の製品ではなく、人材と特許に魅かれたからだと述べていたが、P.A. Semiの人材の活用計画の詳細については多くを語らなかった。
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