ディー・エヌ・エー(DeNA)の株価が好調な業績推移を改めて好感し、上昇基調を鮮明にしている。同社は4月30日に、好調な2008年3月期の連結決算と2009年3月期の連結業績見通しを発表。改めて同社の成長力の強さが確認されたかたちで市場関係者の間で株価先高期待感が高まっている。
2008年3月期の連結決算は、売上高297億3600万円(前年同期比2.1倍)、営業利益126億6200万円(同2.8倍)、経常利益128億2000万円(同2.7倍)、純利益67億7600万円(同2.6倍)と大幅な増収増益を達成した。
主力のモバイル事業が売上高236億円(前期比2.6倍)、営業利益131億円(同3.3倍)と業績全般をけん引した。モバゲータウンは、検索やニュース、有名人コーナーなどを充実させることで携帯電話ポータル戦略を進めているほか、プロモーションも従来の無料ゲームから、携帯電話ポータルであることを訴求するものへと変更した。広告収入に加え、利益率の高いアバター(サイト上で他のユーザーとのコミュニケーションをとる場合などに使われるキャラクター画像で、ユーザーの分身的な位置づけなどとして利用されている)も寄与した。
今期の2009年3月期については、売上自体がかなり大規模になってきたこともあり、2008年3月期のまでのような倍々ゲームの急成長は難しいものの、登録会員数1000万人を超える携帯電話向けポータル(玄関)サイト「モバゲータウン(モバゲー)」を中心とした事業構造が確立しつつあり、広告などモバゲー関連売上高のほか、携帯電話オークション「モバオク」、インターネットのショッピングモール「ビッダーズ」も順調な拡大が見込まれる。さらに、広告代理店との関係を密にすることで、広告事業の強化を図る。南場智子社長は「新規サービスの開発に取り組み、モバゲーのコンテンツをより強化して、媒体力の向上に努める」としている。
2009年3月期の連結業績については、売上高475億円(前期比59%増)、営業利益225億円(同77%増)、経常利益226億円(同76%増)、純利益122.5億円(同80%増)と引き続き大幅な増収増益を見込んでいる。
また、懸案とされている携帯電話サイトへのフィルタリング規制問題について、18歳未満のユーザーに対するフィルタリング規制に関しては、総務省が同ユーザーに対しては、親の許可がない場合、第3者機関が認定したブラックリストを利用して規制を施行する可能性が高まっている。同社は、監視体制も強化して、ブラックリストの対象にならない活動を進めるのに加え、20歳以上の会員数の増加も図る。
同社の株価は2007年12月6日に88万2000円の高値をつけたあと、下落に転じ2008年1月4日には年初来安値の48万8000円をつけた。その後はほぼ50〜70万円のボックス相場となっていたが、70万円台後半の株価水準に乗せて上放れの兆しをみせてきた。今期業績好調への期待感から中期的には株価90万円台乗せが期待できそうだ。
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