2月20日、シャープが今春にも中国市場に携帯電話を投入すると、共同通信社などの日本のメディアが報じた。
中国の上海や北京や深センなど高所得地域において、中国でも利用できるように改造した日本のソフトバンクモバイルの携帯電話が販売されている。特にシャープ製の携帯電話が人気だ。たとえば中国最大のオンラインショッピングサイトの淘宝網では、2000元〜4000元(3万円〜6万円)程度で販売されている。高所得地域とはいえ、こうした地域の社会人でも半月分から月給程度のお金がとぶ。
その価格帯にも関わらず、たとえば中国のIT系の最大のポータルサイト「太平洋電脳網」の人気携帯メーカー2007というランキングにおいて、シャープは10位にランクインした。シェアにして1.27%なので、決して高いとはいえないが、中国ではシャープ製携帯電話が販売されていないことを考えればすごいことではないだろうか。
ではシャープ製をはじめとした日本向けの携帯電話の購入者はどう使うのだろうか。そのヒントとなるのが、中国のポータルサイトのゲームチャンネルのサイトにある。これらサイトでは、中国で公式にリリースされているオンラインゲームや、個人輸入されているゲーム機を紹介するほか、さらに日本製携帯電話用の最新のゲームを紹介している。つまり日本向け携帯電話を所持する目的の1つに、日本の携帯電話向けのゲームコンテンツを楽しみたい、というのはあるだろう。したがって単に「高級で液晶が自慢のGSM機を作りました。日本でリリースされているゲーム並みのクオリティのゲームはこれでは遊べません」だと、中国のシャープ製携帯電話ファンは引き続き日本から個人輸入するような気がしてならない。
中国未発売の携帯電話が密かな人気となっているのは、何もシャープ製携帯電話に限った話ではない。
IT系ポータルサイトの中関村在線の調査結果(2008年1月)によれば、人気の携帯電話メーカーランキングで、Appleが7位にランクインしている。シェアにして1.85%だ。Appleもまた中国向けには同社の携帯電話を出荷していないが、しかしながらiPhoneは前述の上海などの所得の高い都市において販売されている。
米国の調査機関のIn-statは2月16日、Appleは2007年に370万台のiPhoneを出荷したが、100万台が不正にSIMロックを解除され、その100万台のうちの40万台が中国に流れたという調査結果を公表した。実際淘宝網では、多数のiPhoneが4000元弱〜5000元強(6万円弱〜75000円強)の価格で販売されているのを確認できる。
中国の先進的な都市の住民ですら、月収は5〜6万円が一般的だが、それでも月給並みの価格帯のガジェットを購入したい人たちがかなりいる。シャープの中国向け携帯電話が現地のニーズとマッチすれば、高価であろうと売れるだろう。逆にマッチできなければ売れ行きは期待できないかもしれない。
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