KDDIがアップルのiPhoneについて、交渉をしていたことが明らかになった。12月19日に代表取締役社長兼会長の小野寺正氏が明かしたもの。
ただし、小野寺氏によれば、アップルはGSMの次にW-CDMAへの対応を考えているようだという。KDDIとしても利益を上げられるビジネスモデルを確立することが難しいといい、auでの投入は見送ることになりそうだ。
小野寺氏はこのほか、ボーナス商戦でのau端末の販売状況やモバイルWiMAX事業についても明らかにした。
「携帯電話事業は12月末までは厳しい状況が続くと思っている。有機ELディスプレイなど見てもらえばその素晴らしさが分かる端末もあり、店頭に来てもらえるような営業努力を進めている」と、11月、12月の状況について振り返った。
原因は、新しい端末プラットフォームであるKCP+の開発の遅れ。12月に投入予定だったKCP+端末が発売できなくなり、店頭のラインナップが貧弱になったのだ。小野寺氏は「プラットフォームの開発が終われば解決する。まだ端末の発売時期は決まっていないが、1月末までには登場するだろう。プラットフォームは作ってしまえばよいので、今回限りの問題だ。期末の決算や利益計画への影響はない」とした。
もっとも、端末の販売台数が減れば、販売促進費も減るため利益は増える。このため、短期的な影響は見えにくい状況だ。
モバイルWiMAXについては、「まだ、(免許の交付が)決まってはいないが、交付されればMVNOには積極的に対応していく。接続料の体系は携帯電話とは違うモデルになるだろう」とのこと。
モバイルWiMAX事業は、モバイルWiMAX対応のチップをあらかじめ搭載したノートパソコンのようなデバイスでのデータ通信の利用を想定している。SkypeのようなVoIPソフトをMVNO事業者が提供しても構わないとしながらも、「データ通信と音声は違う。基地局はデータ通信に適した配置を行っていく」とした。auとの関係については、「モバイルWiMAX事業と携帯電話事業とは明らかにビジネスモデルが違う。auを補完するものになるだろう」との見解を示し、音声通話についてモバイルWiMAXの影響はあまりないとした。
総務省からの要請があった若年層へのフィルタリング問題については、「18歳未満の契約者に対するフィルタリングサービスは、すでに開始している。それより問題なのは18歳未満の携帯電話の利用をどのように把握するかということ。18歳未満の利用者のうち、約7割は本人が契約しているが、残り3割は親が契約している。auは学割加入時に学生証などの提示が必要なため本人契約が多いが、NTTドコモの場合はKDDI以上に親の契約が多いと聞いている。支払いを親がしていることから、親が契約者になっていることが多い。もし子どもと一緒に新規や機種変更の契約に来るのなら把握できるが、親だけが来店して契約した場合は区別がつかない」
所有者と使用者を区別する契約形態にするという対応方法はあるが、こうなるとシステム全体を変更しないとならず、事業者としての負担が重い。
どのサイトが安全、もしくは有害かというホワイトリストやブラックリストの作成についても、準備は進めているとう。ただし、KDDIがリストを作ること自体が問題になる可能性があるとの認識だ。グレーゾーンにあるサイトもあり、コンテンツ事業者による自主規制を期待しているとした。
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