業界のキーパーソンが一堂に会し、モバイル市場におけるビジネスの成長やマーケティングについて議論を交わす「モバイル・ビジネス・サミット 2007 マーケティングエディション」が12月7日に開催された。基調講演には総務省総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課長の谷脇康彦氏が登壇。「モバイルビジネスの活性化策について」をテーマに講演を行った。
谷脇氏が「成長期から成熟期に入った」と語る日本のモバイル市場。1995年度を境にして、携帯電話・PHSの加入契約数の増加率が減少に転じている。その一方で、ARPU(加入者ひとりあたりの利用額)全体に占めるデータ通信の割合は年々増加しているものの、音声収入の低下をカバーするほどの伸びはなく、また、携帯電話事業者のシェアを見ると、主要3社による寡占状態が依然として続いている。
谷脇氏はこういった現状について、「日本のモバイル市場は健全なマーケットだと言えるだろうか」と疑問を投げかけ、「日本のモバイル環境はいち早く第3世代(3G)端末が普及するなど高いポテンシャルがありながら、多様なビジネスモデルが登場していない」と、モバイル市場が抱える課題について指摘した。
こうした状況に対して、谷脇氏は総務省では政府としてさまざまな取り組みを行っていることを説明する。同省では2006年秋以降、ブロードバンド市場全体の競争活性化に向けた検討を行なっており、特にモバイルビジ ネスの活性化に向けた検討については、2007年9月に「モバイルビジネス研究会」報告書を踏まえ、「モバイルビジネス活性化プラン」を策定・公表し、具体的な政策展開を始めている。
モバイルビジネス活性化プランにおいて、市場の競争促進に視点を置いた重点施策として第一に掲げられているのが、「販売モデルの見直し」だ。特に携帯電話業界における、販売奨励金(インセンティブ)制度のあり方が議論を呼んだ。
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