米国では、通常のブロードバンドが豊富かつ安価に提供され、ほとんどの大都市圏では3Gワイヤレスネットワークも普及している。こうした発達した市場でWiMAXの果たすべき役割はあるのだろうか。
Cisco Systemsは10月、WiMAX機器を製造するNaviniを買収すると発表し、WiMAX市場に参入したが、これは米国ではなくアフリカやラテンアメリカなどの新興市場にWiMAXの大きな可能性があると見ているからだ。
Ciscoでワールドワイドサービスプロバイダーマーケティング担当バイスプレジデントであるJeff Spagnola氏は、「Naviniは、新興市場のネットワークを構築するために買収した。発展した市場のほとんどではWiMAXは選択的にしか使われないだろう。しかし、開発途上国ではこれからだ。利用できるインフラストラクチャがないため、既存のワイヤレスモデルを適用するよりも、WiMAXを展開する方がはるかに容易だ」と述べている。
一方、IntelとMotorolaも開発途上地域に可能性があると見る点では同じだが、成熟市場にとっても魅力的なテクノロジだと考えている。IntelでWiMAXチームを率いるゼネラルディレクターのJoe Nardone氏は、成熟市場ではいずれ3Gよりも大きな容量が必要になってくると話す。
「通信事業者はいずれ次の段階に進むために大幅な高速化を迫られる。そうなれば、容量と効率の点でWiMAXも選択肢の一つに浮上するだろう」(Nardone氏)
専門家の意見も同様で、世界中の通信事業者が多額も投入して3Gワイヤレスネットワークを構築したが、このネットワークではゲーム機、デジタルカメラ、iPod、ナビゲーション機器など、ワイヤレスを利用する家電製品から生ずるであろう大量のワイヤレスデータを扱うには不十分だと述べる。
ABI ResearchのアナリストであるPhilip Solis氏は、「3Gは音声用に設計されており、データ送信の場合、現行の3Gセルで同時処理できるのはせいぜい6人までだ。WiMAXの容量ははるかに大きい。ワイヤレスで大量のデータを扱うアプリケーションが使われるようになれば容量が重要になる」と話す。
モバイルWiMAXの利用者は2012年までに北米で4500万人、世界では2億人になる、と同氏は予測している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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