Gartnerのアナリストは、Appleが、企業向け「iPhone」の製造を開始するか、または既存モデルに、より企業使用に適した機能を追加する可能性があると予測している。
Gartnerは以前、iPhoneがビジネスツールになるという見方を否定したことがあったが、現在、同社アナリストグループはその可能性も共感を示しているようだ。
GartnerのリサーチディレクターであるMonica Basso氏は、「Appleが、将来的には企業向け市場での可能性を見出し、企業ユーザ向けの機器を製造するか、あるいは、既存の同社製品に企業での導入により適したものとなるような機能を追加すると私は思う」と述べた。「(Microsoftの同期プログラムである)ActiveSyncのサポートがきっと、こうした機能の1つである。(これは)携帯電話事業者に依存しない機能だからだ」(Basso氏)
Basso氏は、柔軟性に対する企業の要求は、異なるバックエンドサーバをサポートすることであると述べ、Microsoftのモバイル同期ソフトウェアのライセンスを得ることにより、「iPhone」は同社のメッセージングソフトウェア「Exchange Server」を利用する企業にとってより魅力的なツールになるだろうと提案した。
Basso氏は米国時間9月4日、インタビューに応じ、「Exchange電子メールサーバは、市場をリードしている。将来的にはAppleがActiveSyncソフトウェアのライセンスを得て、Nokiaなどのメーカーのように自社の電話にダイレクトプッシュ機能をサポートすることを期待する」と述べた。「AppleとMicrosoftが提携するようには見えないという点を除いては、十分あり得る話だ。両社ともに何らかの利点があるだろう」(Basso氏)
このような予測とは別に、Basso氏は、iPhoneの現行バージョンにはセキュリティ問題が潜む可能性があるため、企業での利用には適していないと述べた。
「iPhoneは、企業に対し安全というよりは新しい脅威であるように私には見える。iPhoneに付加可能なセキュリティ関連のサポートが現時点ではほとんどない。企業向けモバイル電子メールに関するソリューションも何もサポートしていない。Exchangeのダイレクトプッシュ機能もサポートしない。唯一サポートされているのは(電子メールクライアント機能で)、POP3またはIMAP4サーバに接続可能であるという点だけであり、ファイアウォールで保護された電子メールサーバには接続できない。これにより、電子メールサーバがある意味安全ではないと考えられる状態にさらされてしまう」(Basso氏)
またBasso氏は、iPhoneは標準化されたプッシュ電子メールをサポートしないため、ユーザーは企業メールをYahooなどの商業用サービスに転送することになる可能性があり、これがさらにセキュリティ上の問題になり得ると述べた。
しかし同氏は、企業が、WebExやNetSuiteのように、iPhoneの「Safari」ブラウザを通じてアクセス可能なiPhoneベースの企業向けアプリケーションを提供するアプローチを取ることで、機器自体に保存されるデータは少ないため、セキュリティ上の脅威にさらされる危険性は低下するかもしれないと認めている。Gartnerは、2012年には企業情報が保存された1000万台のスマートフォンが紛失または盗難されるだろうと予測している。
Butler Groupのアナリストらも、企業がiPhoneの使用を適切に管理しなければ、仕事と個人用の管理ツールを統合したいと考えるiPhone所有者が、企業にiPhoneを「持ち込む」ことになるだろうと懸念している。
iPhoneは現在、米国内のみで提供されている。2007年中には英国で、携帯事業者O2により発売される予定であるとうわさされている。
AppleおよびMicrosoftからはすぐにはコメントは得られなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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