Googleが先日リリースした「モバイル Google マップ」は、同社が初めて日本の携帯電話向けに開発したアプリケーションだ。携帯電話でPC版と同様の地図機能を再現するにあたって、Googleがどのような点を工夫したのか。開発責任者である石原直樹氏が語った。
石原氏はまず、Googleが携帯電話向けサービスに注力する理由について、珍しいデータを用いて説明した。
例えば、子供が一人生まれる間に何台の携帯電話が販売されているか知っているだろうか。石原氏によれば、その数は実に7.5台にも上るという。
人間の誕生を遙かに上回るペースで、携帯電話は世に溢れているのだ。
また中国には5億人以上の携帯電話ユーザーがいる。日本の人口1億2000万は言うに及ばず、米国の人口約3億人と比較しても、その規模の巨大さには驚かされる。
携帯電話はもはや通話専用の機器ではない。これらの携帯電話のほとんどがウェブアクセス機能を有しているのだから、Googleとしても携帯電話向けのサービスを拡充するのは当然、ということだ。同社は4月にはGmailの携帯電話版をリリースしている。
そんなGoogleがモバイル Google マップを開発するにあたって最も重視した点は何だろうか。それは「一にも二にも三にもユーザビリティだ」と石原氏は語る。いかに簡単に携帯電話からGoogle マップを使ってもらえるか、基本的な地図をいかにシンプルに見せられるか。これらを追求した結果が現在のモバイル Google マップだという。
ユーザーはアプリケーションを立ち上げた瞬間にその工夫の一端を感じることができる。アプリを起動してまず目に入るのは、前回利用時に最後に見ていた場所の地図だ。モバイル Google マップでは、ユーザーの利用履歴を保存し、自動的に前回表示した地点が表示されるようになっている。
「他のアプリのように、メニューがあって、ディレクトリがあってという手間は省略した」と石原氏。とにかく素早く地図を表示するためだ。
またズームイン操作は携帯電話のセンターのボタンに割り振られている。これは「一番よく使う機能は一番使いやすいボタンに」という考えに基づいたものだ。PC版か携帯電話版かにかかわらず、ズームなしに地図を利用するのは難しい。そいういった機能を最も押しやすいボタンに割り振ることで、ユーザビリティを向上させたという。
さらにセンターボタンを連打した場合も、一回ごとに読み込みを待つことなく、連続してズームインすることができる。上下左右のスクロールはローカルキャッシュを利用し、一旦読み込んだ地域の再表示もスムーズだ。
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