最近カラオケに行ったのはいつだろうか。昨日?先週の金曜日?1カ月前?ここ1年は行っていないという人もいるだろう。かつてのカラオケブームはすっかりなりをひそめてしまった。客をふたたびカラオケに引き戻すにはどうしたらいいのか――。業界大手のエクシングが目を付けたのは、ユーザー間のやりとりで盛り上がるソーシャルネットワーキングサービス(SNS)だ。
エクシングはブラザー工業、インテック、ブラザー販売の3社が1992年に共同で設立した企業で、カラオケ機器「JOYSOUND」の販売で大きく成長を遂げた。ただしカラオケ参加人口は1994年をピークに減少傾向が続いており、全国カラオケ事業者協会の推計によれば2005年のカラオケ参加人口は4700万人と、1994年の5890万人から1000万人以上減っている。
「これまでのカラオケ機器は配信曲数を増やし、音質を良くしたほか、歌手が実際に歌っている映像をネットワークで配信するなどして高機能化を進めてきた。にもかかわらず、カラオケ参加人口の減少には歯止めがかかっていない。これ以上同じように高機能化を進めても、カラオケ参加人口は増えないのではないか」――こんな危機感を、JOYSOUNDの開発メンバーの1人であるエクシング うたスキ推進部WAVE企画グループ長の高木貴氏は抱いた。
カラオケは本来楽しいもの。しかし、「流行の曲がわからない」といった理由で敬遠しがちになっている人は多い。もっと気軽に楽しんでもらうためには、より個人のニーズに合ったサービスを提供するべきではないのか。そんな考えで生まれたのが「うたスキ」だ。
うたスキではユーザーが個人ページを開設し、自分の好きな楽曲を登録できる。また、過去に歌った楽曲の履歴が保存され、好みのエコーなどマイクの設定をしておくこともできる。カラオケ店にある操作端末「キョクNAVI」のほかPCや携帯電話からもアクセス可能なため、あらかじめ歌いたい楽曲を登録しておいてカラオケ店ですぐに歌うことが可能だ。
さらにうたスキでは、友だちを登録しておくと、その人が過去に歌った楽曲や、その人の歌のうまさを点数で見ることができる。一緒にカラオケに行ったときにその人が歌っていた楽曲が分かるほか、自分の好きな曲を友人と自分のどっちがうまく歌えるかが一目瞭然となる。
「点数を見て、『あいつよりうまく歌ってやる』というように盛り上がってほしい」(エクシング うたスキ推進部の筧剛氏)
点数は楽曲別だけでなく、総合点も表示される。過去のスコアなどを元に、全国のうたスキ会員の中で何番目に歌がうまいかが順位で表示される。エクシングとして総合順位を出すのは初の試みといい、それだけに反響も大きいという。「どういった楽曲をどのように歌えば順位が上がるかという“攻略法”がブログで話題になっている」と高木氏は手応えを話す。
このほか、自分が歌った曲を元に、自分の「うた年齢」がわかる機能もある。曲ごとにどんな年齢の人が多く歌っているかを集計しており、若い人がよく歌っている歌を歌うほど、うた年齢は若くなる仕組みだ。「実年齢とのギャップを楽しんでもらいたい」(高木氏)
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス