「プロフ」というサービスをご存じだろうか。携帯電話やPCなどに対応した自己紹介ページを作成できるサービスの総称だ。10代を中心に人気を集め、コミュニケーション手段の1つとして使われている。メディアシークが自社モバイルサイトの利用者に対して行った調査によれば、13歳〜15歳の85人のうち90%がプロフの存在を知っているといい、実際にプロフページを持っている人も67%にのぼるという。多くのユーザーは携帯電話から自分のプロフを作成し、友人同士で見せ合っているようだ。
プロフを運営している事業者はいくつかあるが、その中でも多くのユーザーを抱えているサービスの1つが「前略プロフィール」だ。900万以上のプロフィールページが開設されており、ユーザー数は「数百万人」と運営者は話す。
実は、この前略プロフィールを運営しているのはショッピングモールの最大手、楽天だ。ただし「楽天」というブランド名は前面に押し出さず、CGIBOYというサービスの1つとして提供している。CGIBOYはキープライムが運営していたサービスで、2002年に楽天がキープライムを子会社化、2003年に吸収したため、現在は楽天のポータル事業の1つとして位置づけられている。
楽天 開発・編成統括本部 プロデュース本部 ポータル部門 部門長の浅見貴之氏によると「前略プロフィールは単独のサービスではなく、掲示板やアクセスカウンターなど、ユーザーが必要なパーツを使ってホームページを作るために利用するサービスの1つ」という。
前略プロフィールのサービスが開始されたのは2002年4月。当時は個人ホームページが全盛で、ブログやソーシャルネットワーキングサービス(SNS)は日本で開始されたばかり。前略プロフィールの利用者数も、さほど多くはなかった。それが、2006年に風向きが変わる。
「利用者数が急激に伸びたのは2006年の後半から。特にプロモーションをしたわけでもないのに、口コミで広がっている。コミュニケーションツールとして、10代から20代前半までのユーザーが利用しているようだ」と、開発・編成統括本部 プロデュース本部 ポータル部門 ポータルプロデュース部の鈴木裕次氏は話す。
前略プロフィールでは、あらかじめ用意された質問事項に答えていくと自分のプロフィールページが完成する。また、写真や画像を掲載することも可能だ。非常に簡単な仕組みだが、この手軽さが受けたと楽天は見る。また、質問事項も「性別」「星座」「趣味」などスタンダードなもののほかに、「前世」「生まれ変わったら」「世界平和に必要なのは」といったユニークなものも多くあり、「受け狙い」ができる点も魅力になっているようだ。
ユーザーは自分のページを携帯電話で開いて直接見せ合ったり、URLをメールで送りあったりしているという。また、初対面の際の名刺代わりとしても使っている。
自己紹介ページは一度作成したらほとんど更新しないというケースが多いが、前略プロフィールでは様子が異なる。掲載した写真を頻繁に入れ替えたりプロフィールを書き換えたりするケースが多いという。また、掲示板を設置することができるため、新しいコミュニケーションツールとしても利用され始めている。
同様のコミュニケーションツールとしてSNSやブログといったインターネットサービスもあるが、前略プロフィールは機能が限られているがゆえに利用するための敷居が低く、若年層を中心に会員数が伸びたのである。
しかし、懸念材料もある。若年層がメインユーザーのためメールアドレスを簡単に公開してしまったり、自分の写真をそのまま載せてしまったりすることで、出会い系などへのトラブルにつながる可能性が高いのだ。「携帯電話から使っているユーザーが多いせいか、自分と友人しか見ていないと勘違いしてしまい、自分の住んでいる場所や友達の名前などをそのまま書いてしまう。インターネット上で一般に公開されているという意識が薄いユーザーは多い。PCサイトのコミュニティで言えば、3〜5年前の状況に似ている」(浅見氏)
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