待望の次世代Wi-Fi標準の策定プロセスに再び遅延が生じている。新標準が承認されるのは2008年になりそうだ。
この新標準が登場すれば、ノートPCユーザーは、現在よりもはるかに速いスピードで無線アクセスポイントへの接続が可能になる。新標準は当初、2006年後半に策定プロセスが完了する予定だった。
IEEE(米電気電子通信学会)が2006年1月、802.11nと呼ばれる新標準のドラフトを承認した。そこに至るまでに、チップメーカー間で激しい論争が展開された。第2ドラフトは2006年の晩秋までに完成予定だったが、今はその予定が2007年1月までかかると見られている。そうなると、同標準が最終的に承認される時期は、2008年にずれ込むことになる。
標準の承認が遅れた原因は、IEEEに提出されたドラフトにおよそ1万2000カ所もの修正が加えられたためだ。
Airgo Networksの事業開発担当シニアディレクターで、IEEE 802.11n作業部会のメンバーでもあるRolf De Vegt氏は、「現在のドラフトに対し、数多くの意見が寄せられた」と述べ、「これは、ドラフト1.0の完成度が不十分であったことの証明だと考えている。そして、その全ての意見に対応するには時間がかかる。作業部会が修正を加えた新ドラフトについて採決を実施できるのは、2007年の早い時期になるはずだ」と語った。
一方で、競合よりも早い市場参入を目指すメーカー各社は、802.11n標準のドラフト1.0に準拠している(と各社が主張する)製品のリリースをすでに開始している。Dellらは、すでにドラフト版802.11nに対応するノートPCを発表した。NetgearやLinksysなどの無線ルーターを販売する企業も、すでにドラフト版802.11n対応製品をリリースしている。
しかし、米調査会社Farpoint Groupのアナリスト、Craig Mathias氏によると、802.11nの最終版が承認された際、ドラフト版に対応していた製品が、最終版にも準拠する可能性は低いという。またMathias氏は、ドラフト版対応製品をアップグレードし、最終版に対応可能にすることも難しいと考えている。ただ、同氏によると、それらの機器を自宅でしか使用しない場合は(最終版に準拠していなくても)問題なく動作するという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ
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