「日本流スマートホン」の完成型--Vodafone 904SH

Vodafone
内容:今までケータイはPCやテレビと比べた際、ディスプレイやテンキーといった物理的なユーザーインターフェイスに関して、コンプレックスを持っていた。端末全体のサイズやコストがとてもシビヤなケータイの世界では酷な要求かもしれない。しかしディスプレイに関しては、VGA対応という迫力をもって、1つの転機を迎える端末を目の前にすることができた。

洗練された全部盛り、これがシャープスタイル

  • ボディはマットな質感でヒンジ部分が金属調になっている

 Vodafoneからリリースされるフラッグシップモデルとなるシャープ製の904SH、今回はなんと言ってもディスプレイのVGA液晶の搭載が目玉だ。しかしVGA液晶以外にも8つの新たな進化を遂げている。まずはそれをパッケージするデザインから見ていこう。その外観・質感は、オトナの雰囲気が漂うモノだった。

 端末の形態は折りたたみ型でディスプレイ部が回転する形式はもはやおなじみのスタイルになった。ディスプレイ部の回転はカメラを起動するなどのスイッチにもなる。サイズは104mm×50mm、厚さ28mm、重さ約151gと、ドコモやauから出ているワンセグ対応端末と同じようなサイズになっている。

 お世辞にもコンパクトで軽いとは言えないが、端末全体を通して自然に手になじむラインになっているため、持ち歩きをためらうことはない。ヒンジ部分は金属のような鈍い反射が魅力的な塗装になっており、ディスプレイの周りにもボディとは違う樹脂素材があしらわれている。

 ディスプレイの背面には、モノクロの小さな液晶が復活していて、時計などの情報を端末を開かずに確認できるようになった。背面にはカメラ、撮影用ライト、Felicaが配置されている。ダイアルボタンを正面から見て右側の端末側面にサイドボタンがまとめられており、ページスクロール用のシーソーボタン、メニューボタン、シャッターボタン、キャンセルボタンが並ぶ。カメラ撮影時にシャッターボタンが端から2番目にあるため、デジカメのように構えて片手で写真撮影をするには苦労しそうだ。

 このボディの中で、日本仕様に変更されたインターフェイス、Bluetooth搭載、顔認証セキュリティ、GPS、6軸モーションコントロールセンサー、VGA液晶、光学2倍ズームと静止画手ブレ防止に対応した320万画素CCDオートフォーカス付きカメラ、コミック、アドレスサーババックアップ、といった新たな機能へ対応を果たしている。これらを眺めていると、この端末がVGA液晶の必要性を訴えかけてくるように思えてくる。

  • 左側面。miniSDカードスロットとイヤホンマイクコネクタが配置されている

  • 右側面。シャッターボタンやスクロール用のシーソーボタンがまとめられている

  • 背面。カメラ、フォトライト、FeliCaの3点が配置されている

  • モノクロ背面ディスプレイが復活した。電池残量・時計・電波強度が確認できる

  • 端末を開いたところ。ボタンはスクエアで統一され、ソフトキー・受話キー・終話キーの4つだけが丸形

全てはVGAディスプレイを引き立てるために

  • ディスプレイを反転させて折りたたむとカメラが起動する

 VGAという言葉を聞くと、古くからのPCユーザーにとっては懐かしさをもって受け入れるのではないだろうか。640×480ピクセル 16色。IBMのパソコンPS/2の標準グラフィックスがVGAだった。今やPCをVGAの解像度で常用しているユーザーは皆無だろうが、904SHが登場するまでの間、ケータイのディスプレイは320×240のQVGA(VGAの1/4)に留まっていた。

 つまり904SHは、他のケータイに比べて、1画面で表示できる情報量が4倍になったという事だ。4倍の解像度のディスプレイの単純な生かし方は2通りある。よりサイズの大きな画像を表示するということと、もしくは同じ大きさのものをより細かく表現するということだ。

 前者の例としては、ケータイで撮影したカメラの画像をより精細に表示することができるようになる。画面全体で表示する際にもあまり縮小がかからずより細かく表示されるし、大きな画像を等倍表示した際にも1度に映せる部分が広がる。そこでカメラはモジュールこそ320万画素オートフォーカス、2倍の光学ズームと変わらないが、これに加えて静止画でもソフトウエア処理による手ブレ防止機能が利用できるようになった。

 同じ大きさのものをより細かく表現する例は、いわゆるベクターデータに属する情報が中心だ。つまりFlash LiteやPDFといった形式で提供される地図や路線図といった情報は、同じ範囲を表示した際により細かい文字の可読性が向上したり、縮小してもディテールが崩れないといったメリットが出てくる。GPSと後述の6軸モーションコントロールセンサーを組み合わせたVodafone Live! NAVIで表示される地図は、高解像度だからこその見やすさを体感することができる。カーナビの地図にも匹敵するような快適さだ。WordやExcelといったビジネス文書の表示にも威力を発揮するだろう。

 VGAに対応した迫力がありかつ繊細な表現をしてくれるディスプレイを何に使うか? 前に触れたとおりカメラの撮影クオリティ向上、Vodafone Live! NAVIでの快適な地図表示やナビゲーションはこれまでのケータイとは一線を画す使い勝手を提供してくれている。またPDFやFlashなどの拡大してもクオリティが下がらない形式でのコンテンツに対して、904SHは強力なビューワー機能を確保してくれている。

 904SHでは動画再生もVGAサイズ、30fpsの動画再生にも対応し、静止画・動画共に撮る・見る際のクオリティが上がった。VGAサイズ30fpsの動画は、現在ワンセグで送られてくる映像の320×180ピクセルもしくは320×240ピクセルよりも高クオリティである。ライブ感を楽しむワンセグ放送とより高いクオリティで楽しむムービーという棲み分けも見えてきそうだ。

 そしてもう一つ、VGAを生かす強力なキラーコンテンツになりそうなのが電子コミックである。904SHではあらかじめ5つの作品がプリセットされており、Vアプリのコミックビューワから呼び出して閲覧することができる。ケータイで1コマずつスライドショーしながらマンガを読む感覚はとてもしっくり来るものがあった。このように904SHは、ただVGAディスプレイを搭載しただけでなく、高解像度ディスプレイが必要なアプリケーションや楽しみ方まで提案してくれるフラッグシップモデルなのだ。

  • 顔面認証やTVコールで利用する内側のカメラ。ディスプレイの周りはカーボン調のアクセント

  • メインメニュー

  • かな漢字変換はケータイShoin4を搭載

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