TTからW-SIMを抜き出して、今度はWS002“DD”のスロットに挿入してみる。DDとは「Date Driver」の略。TTにW-SIMをセットする場合は完全にふたが閉じて収納され、外からW-SIMの存在をのぞくことはできないが、DDはちょうどW-SIMの上部が少しだけ外に出る格好になる。DDはW-SIMのスロットからUSBの短いケーブルが伸びているだけのデザインで、PCなどのUSBポートに差し込み、付属しているCD-ROMからドライバをインストールすればすぐにダイアルアップで使い始めることができる。
端末の片側にはUSB端子が溝で固定されており、少し指で押せばリリースされる。USBポートに端子を差し込むと、W-SIMが収められているスロット側がきちんと垂直な位置で固定される。ソフトな材質にもかかわらずぴたっと立ち上がる。ウィルコムのロゴが描かれている面の右下には通信の状況を示すインジケータランプが仕込んであるが、ランプの開口部がないためか、日向では手で隠して日陰を作らなければ光っているかどうか分からなかった。
僕は今まで、USBポートに直接差し込むデータ端末である富士通製のAH-F401Uを使っていた。以前のノートPCにPCカードスロットがなかったからである。そのためノートPCの側面から端末が飛び出している状態には慣れている方だが、それでもAH-F401Uに比べると幅があるせいか大柄な印象だ。普段PCカード型の端末を使っているAirEdgeユーザーにとっては、USBポートにわざわざ差し込んだり、飛び出している状態に煩わしさを感じるかもしれない。
通話と最小限のメール機能を備えた電話機TTとUSBに直差しデータ通信端末DDとの間でW-SIMを差し替えながら使うSIM STYLEの製品群。これらの端末をどんなユーザーにオススメしたいかを考えてみると、割と明確な答えが出てくる。ケータイはケータイで別に持っていて、これまでウィルコムの回線をデータ通信専用で使ってきたモバイルユーザーである。
DDにTTが付属してくるTTセットの意味を考えてみると、今までのデータ通信を定額で使うこともでき、W-SIMを差し替えれば定額通話もできるようにするセットであると言える。つまり既存のデータオンリーだったモバイルユーザーに対して、ウィルコムの定額通話を活用しよう、という提案に映る。
料金プランの面でもその流れを後押ししている。128kbpsのパケット定額プラン「つなぎ放題 [4x]」は、月額9,300円でデータ通信に限って使い放題になる。一方TTとDDの組み合わせでウィルコム定額プラン(月額2,900円)にデータ定額(月額1,050円、PCでのパケット利用で上限6,300円)を契約すると、ウィルコム間の定額通話とパケット使い放題でも上限9,200円で、「つなぎ放題 [4x]」より100円割安になるのだ。ハードに使わない月であればその料金はさらに安くなる。それだけでも乗り換える価値がある上、定額通話もできるようになるのだ。
今まで日常の通話が固定電話とケータイだけで成り立ってきた状態では、まだまだ「誰がウィルコムの070番号を持っていて、定額通話ができるか」という相手探しに苦労するかもしれない。これからモバイルユーザーにDDのパケット定額にTTの通話定額を使い分けるスタイルが定着していくとき、音声通話が加わることで、ビジネスやクリエイションなどに欠かせないコミュニケーションが、より効率的になり、アウトプットはより深いモノになるかもしれない。それはまるでTTのデザインのように。
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