大学生向けの無料コピーサービス「タダコピ」を提供するオーシャナイズが、コピー用紙を使ったターゲティング広告配信の試験を開始した。9月末より東京富士大学と帝京大学板橋キャンパスに新システムを設置。2010年にも本運用を開始する。
タダコピは、コピー用紙の裏面を広告媒体として利用することでコピー料金を無料にする“広告モデル”の無料コピーサービスだ。オーシャナイズでは2006年4月よりサービスを開始しており、現在では東名阪の大学を中心に全国52校の大学に専用の複合機を設置している。
月間の配布枚数は150万枚以上。大学構内で学生に直接リーチできる紙メディアであり、なおかつ学生が必要とするコピー用紙の裏面に広告を入れるという点が評価され、大企業や官公庁などの広告出稿も多い。
今回導入する新システムは、複合機に専用のアプリケーションを利用するためのタッチパネル端末とFeliCaリーダーを組み合わせたもの。初回利用時には、携帯電話をリーダーにかざし、タッチパネル端末で性別や学年、文系か理系かといった属性情報を登録する必要がある。
携帯電話の識別情報(UID)をもとにユーザーの属性を管理するため、初回の登録後は携帯電話をリーダーにかざすだけでサービスを利用できる。複合機には4つのトレイがあり、それぞれに別の広告が印刷された用紙をセットできる。そのため、ユーザーの属性に応じて最適な広告が入ったコピー用紙が選ばれる仕組みだという。ユーザーが月間で利用できるコピー枚数や原稿数についてもシステムで制御していく。
新システムは無線LANでネットワークに接続しており、属性情報はオーシャナイズが一括管理する。なお、FeliCa非搭載端末に対してはQRコードを用意して専用のサイトへ誘導。サイト上で属性情報を登録したのちに発行されるユーザーコードをタッチパネル端末に入力することでサービスを利用できる。
オーシャナイズ代表取締役の菅澤聡氏は、「これまでのタダコピは、複合機に広告の入った用紙を入れただけのもの。そのためコピー原稿数などを制限をできず、『書籍の全ページをコピーする』といった著作権上問題になるような行為やいたずらへの対応ができなかった。一方で広告主からは、詳細な属性をもとにターゲティングを行いたいという要望が多かった」と新システム導入の経緯を説明する。
同社では3カ月をめどにトライアルを実施。そのフィードバックをもとに、設置済みの複合機を新システムに入れ替えていく予定。「(新システムは)以前から検討していたもの。すでに設置している複合機への導入についても想定しており、(大学側の許可があれば)入れ替えは容易」(菅澤氏)
来期となる11月以降は海外展開や大学生以外へのサービス提供も検討しており、「利用者層という『縦』と導入大学の拡大、世界展開という『横』の両軸でサービスを広げていきたい」(菅澤氏)と語る。
オーシャナイズは2005年11月の設立。中央大学、慶應義塾大学、法政大学の学生ら5名が2005年に設立した。タダコピ事業を中心に、大学生を対象にしたマーケティングなども手掛ける。
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