iPhone向けアプリケーション「セカイカメラ」を展開している頓知ドット(頓智・)とソフトバンクテレコムは、LVJグループのロエベ ジャパン カンパニーが9月18日より開催する新作展示会「ロエベ アマソナ展」において、セカイカメラを使ったナビゲーションサービスを提供する。
セカイカメラは、iPhone 3Gのカメラを使って景色を見ると、「エアタグ」と名付けられた、その場所に関連した情報がアイコンで表示され、それをクリックすると写真やコメントが見られるアプリケーション。こういった現実の世界の上にさまざまな情報をかぶせる技術は「AR(拡張現実)技術」と呼ばれて注目されている。
ロエベは1846年にスペインのマドリッドで誕生した皮革製品中心のファッションブランド。ロエベ アマソナ展は過去のロエベ製品や新作が披露される展示会で、ロエベ表参道ブティックでは10月12日まで開催される。
ロエベ アマソナ展では、来場者がセカイカメラを搭載したiPhone 3GSを通じてブティック内を見ると、ロエベブランドの歴史や製品の由来といった情報を閲覧できる。セカイカメラのアプリケーションは現在市販されていないため、会場でスタッフが来場者にiPhone 3GSを渡して体験してもらう形となっており、全部で13台のiPhone 3GSが用意されているという。
LVJグループ ロエベ ジャパン カンパニー プレジデント&CEOの丸山武氏は、今回セカイカメラを採用した理由について、「アマソナ(※ロエベのバックの名称)は歴史の長い商品なので、展示するのに斬新でユニークな方法はないかと考えていた。セカイカメラの技術を知り、皆さんに楽しくアマソナ展をご覧いただけると思った」と話す。
特に、さまざまな説明を来場者に見せられる点を評価しているという。「ラグジュアリーブランドにとって、商品の背景やストーリーを伝えることがビジネス上重要だ。ロエベはナッパレザーという高級革のうち上位5%のものしか使わないということや、4代にわたる職人技といった情報を、来た人が自分のペースで選んで取得できる。その場にいなければできない体験を通じて、一層楽しい買い物ができると信じている」(丸山氏)
また、街に出て情報を取りに行くというセカイカメラの世界観に共感したといい、「インターネットでも買い物ができる時代だが、セカイカメラは160年の歴史を持つロエベブランドを実際にブティックで体験してもらえるきっかけになる」(丸山氏)と期待を寄せた。
頓智・とソフトバンクテレコムは現在、共同で法人向けにセカイカメラを販売する取り組みを進めているという。具体的には、セカイカメラを使って企業が情報発信するための付加情報(公式エアタグ)を登録する「エアタグマネジメントシステム」、クウジットのPlace Engineを使って、屋内でも無線LANの電波状況から位置情報を把握する「Wi-Fiロケーションサービス」を提供。ソフトバンクテレコムは無線LANサービスの拡販にもつなげたい考えだ。なお、今回のロエベ アマソナ展は採用第1号となる。「ほかにも地方自治体などと話を進めている。10月には出てくるのではないか」と頓智・CEOの井口尊仁氏は話した。
セカイカメラの一般向けリリース時期について、井口氏は「Coming Soon(もうすぐ発売)。楽しみに待っていて欲しい」とした。アプリ自体は無料で配布する考えで、アプリ内で提供するゲームなどのコンテンツの販売や、広告の掲載などで収益を上げたいとのことだ。
また、開発者向けにセカイカメラのAPIを公開する計画もある。ほかのアプリケーションでもエアタグを付けられるようにしてセカイカメラ内で閲覧できる情報を増やすとともに、セカイカメラ内に第三者の開発したコンテンツを表示させる仕組みも作りたいとしている。
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