2009年を“攻めの1年”と位置づけるライブドアが、6月25日に分社後初のM&Aを実施することを発表した。インターネット広告配信事業を展開するアドワイアーズの株式を、ライブドアの100%子会社で検索連動型広告サービスを運営するジェイ・リスティングに取得させ、ブログに適したターゲティング広告の導入を進める。
ジェイ・リスティングは6月24日にアドワイアーズ株式の80%(800株)を取得した。買収金額は非公開としている。
アドワイアーズは福島に本社を置く企業で、行動ターゲティング技術やコンテンツマッチなど、複数のマッチング技術を応用した自社開発の広告配信システムを保有している。マッチング結果に優先順位をつけ、1番目に検索連動型広告、続いてユーザーの検索行動による行動ターゲティング広告、コンテンツ連動型広告を配信するといった運用が可能となっている。現在2300社に導入され、月間インプレッション数は4億にのぼる。
ライブドアのブログサービス「livedoorBlog」は6月時点で290万人のブロガーを抱える。4月に発表した新規事業「Blogger Alliance」でブログサービスをASP提供し、既存ブログのシステム移行や、既存コミュニティサービスへのブログ導入による、大規模なブログネットワークの構築を進めている。
今回の資本・業務提携はこのブログネットワークに向けた広告ソリューションの拡充が目的だ。現在はGoogleのコンテンツマッチ広告をlivedoorBlogに掲載しているが、今後はアドワイアーズの広告配信システムと連携し、ブログに適した行動ターゲティング広告を配信していくという。いずれはブログASPのパートナーやジェイ・リスティングのメディアパートナーにも展開する計画だ。
ライブドア ネットサービス事業部 事業部長/執行役員とジェイ・リスティング 代表取締役を兼任する小久保知洋氏は「ブログを閲覧する行動と、いわゆる一般のポータルを見る行動は違うはず。まずはブログに適した行動ターゲティング広告はどういうものなのかを考えていきたい」と述べる。
ブログにコンテンツマッチ広告のみを掲載し続けることに違和感もあったという。
「検索で流入してきた人はまだいいが、友達のブログを見ている人に、その記事に100%適合した広告をコンテンツマッチで見せたところでどうなるか。そこにカレーのことが書いてあったとしても、それを知っていてブログを見にきたわけではない」
そこで、コンテンツマッチの精度をさらに向上させるよりも、ブログに適した行動ターゲティング手法を模索した方がCPM(広告表示回数1000回ごとの単価)を上げられるのではないかという仮説をたてた。「いまはコンテンツマッチのみでマネタイズをしているが、あるときはコンテンツマッチを出して、特定の流入経路のときに行動ターゲティングを出した方がCPMが高くなるとか、そういう使い方もあり得ると思う」
将来的にはブログの記事分類やユーザーの閲覧行動、ブロガーの会員属性などに基づく独自の広告アルゴリズムを開発し、より収益性の高い広告プラットフォームの構築を目指すという。
今回のアドワイアーズとの資本・業務提携は2007年の分社以降、初のM&A案件となる。
「分社後、業績が好調に伸びてきていて、ブログ事業もネットワーク展開できるまでになった。今後もそこをさらに伸ばすためにM&Aを積極的に進めていきたい。ただ、主軸がブログを中心とするCGM系サービスなので、あまり不得手なところ、過去のM&Aのようなものは考えていない。組むことでシナジーが生まれる領域を中心に、CGMに近いサービスを持つ会社や、広告の仕組み、技術を持つ開発会社などがあり得るだろう」
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