Techmemeは、Wall Street Journal(WSJ)の編集長Robert Thomson氏ならば「インターネットの消化器官に生息する寄生虫」あるいは「テクノロジ分野のサナダムシ」と表現するであろうサイトの1つだ。
Techmemeはさまざまな記事へのリンクを集約し、リンクとともにニュースの抜粋も提供している。Thomson氏をはじめとする新聞業界の面々は、他のウェブサイトが対価を払わずに自分たちのコンテンツから利益をあげるのは不公正で違法な行為だと主張している。Thomson氏がコメントを発表したのと同じ日に、Associated Press(AP)の会長William Dean Singleton氏は、多くの活字メディアがニュース集約サイトに対して抱いている思いを「われわれは猛烈に怒っており、もはや我慢の限界だ」という表現で代弁した。
だが、人気が高い技術系ニュース集約サイトTechmemeの創設者であるGabe Rivera氏は、同サイトは記事の短い抜粋を表示しているだけであり、元のコンテンツの宣伝役を果たしているにすぎないと主張している。
Rivera氏はCNET News宛ての電子メールにこう書いている。「成功しているウェブパブリッシャーはいずれも、自らのコンテンツが引用されたりリンクを張られたりすることを望んでいる。そのメリットは明白だ。なかには、短い引用を好む人もいる(中略)。GoogleやTechmemeが用いているのはまさにそうした引用だ。したがって、APやNews Corp.が引用をやめるよう働きかけているのは、彼らがウェブの本質を理解しておらず、墓穴を掘る危険があることを示唆するものだ」
Rivera氏はさらに、WSJやNew York Times(NYT)もニュースを集約していると指摘している。
「(News Corp.傘下の)WSJと(APの主要メンバーである)NYTがいずれもニュースを集約していることを見れば、話は明確になる。両者は外部サイトの見出しを引用するコーナーを設けている。つまり、これら組織の構成要員はニュースの集約が有用で公正な行為だとすでに理解していることになる。この認識がAPとNews Corp.の上層部までは達していないというだけだ」(Rivera氏)
Googleは米国時間4月7日、ブログ投稿で自社サイトや他のニュース集約サイトの正当性を主張した。
Googleの副法務顧問を務めるAlexander Macgillivray氏は、同社のブログに以下のように記している。「われわれは、米国の著作権法に謳われている公正使用の定義に従って抜粋やリンクを表示している。著作権法は著作権所有者にこうした使用を禁止する権利を与えていないが、当社のインデックスからコンテンツを削除することを、あらゆる著作権所有者(今回の件では新聞社や通信社)に認める方針をとっている。著作権所有者はただ、われわれにコンテンツの削除を要請するか、単純な技術標準を実装するだけでいい」
Thomson氏とSingleton氏はともに、WSJとAPが、許可なくニュース記事を集約するサイトを相手取った訴訟を検討するかもしれないと示唆している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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