このコラムの読者なら50歳以上のご両親をお持ちの方も多いのではないかと思われるが、最近どうも親の世代の行動が気になる。
突然の大型2輪車のカタログ、NPO法人設立セミナーへの参加、郵便受けの「お試し版 やさしいFX基礎講座」。最近ナゾの多い親の世代の周辺だが、彼らはいったいネット上ではどのようなサイトを閲覧しているのであろうか?
今回は50歳以上の利用者にフォーカスして、その利用動向を見てみたい。
まず全体像として、2008年4月の50歳以上のインターネット利用者数と対前年同月伸び率を見てみた。
年齢 | 利用者数(単位:千人) | シェア% | 対前年同月伸び率% |
---|---|---|---|
全体 | 48,275 | 100 | 8 |
50-59 | 6,638 | 14 | 14 |
60+ | 4,605 | 10 | 22 |
50+ | 11,243 | 23 | 18 |
これを見ると、2008年4月はインターネット利用人口の23%(4.4人に1人)が50歳以上の利用者であり、利用者数は前年同月比で18%増加していることが分かる。
また60歳以上の利用者のみでもシェアは10%あり、伸び率に至っては22%となっている。
若年層がケータイや他のデバイスからのネットアクセスに流れている中、50歳以上のネット利用者は、家庭におけるPCからのアクセスにおいては利用者数、シェア共に確実に増加しているようである。
それでは早速、50歳以上の利用者がどのようなサイトを閲覧しているのか見てみよう。
単純に利用者数でランキングすると、一般的に利用者規模の大きいサイト(ポータルなど)のみがリストされてしまうので、50歳以上利用者の「シェアが高い」ドメインのランキングを出してみた。
ドメイン | 利用者数(単位:千人) | シェア% | 概要 |
---|---|---|---|
nomura-trade-i.ne.jp | 359 | 71 | 野村ホームトレードサービス |
qweb.ne.jp | 478 | 59 | 株価自動更新画面(BLUE TRADE STREAMER) |
club-t.com | 204 | 59 | クラブツーリズム |
nomura.co.jp | 413 | 58 | 野村證券 |
qhit.net | 433 | 53 | 株価自動更新画面(QUICK Streamer) |
daiwa.co.jp | 309 | 53 | 大和証券 |
daiwa.jp | 279 | 51 | 大和証券グループ |
gunma-u.ac.jp | 229 | 46 | 群馬大学 |
reuters.com | 488 | 45 | ロイター |
necdirect.jp | 209 | 45 | NEC Direct(NECダイレクト) |
上位10ドメイン中、実に7ドメインが証券取引関連という結果となった。
先ほどの年齢別インターネット利用者数では50歳以上の利用者シェアは23%なので、各ドメインにおける71%、59%といったシェアの数字がいかに大きいかが分かる。
また3位にクラブツーリズムが見られるが、ランキング外13位にゆこゆこネット(yukoyuko.net)、14位に阪急交通社(hankyu-travel.com)など、旅行関連サイトも証券取引関連に次いで上位に見られる。
インターネット全体の利用動向では、動画サイト、ブログ、CGMなどの話題が尽きないが、我々の親の世代では、ネットは証券取引や旅行情報収集のツールとして威力を発揮しているようである。
兜町の電光掲示板前でサブプライム問題についてインタビューされている紳士たちは、今後は更に自宅PCで同じ電光掲示板を眺めるようになっていくのだろうか。
50歳以上の人口は今後も増え、ネットリテラシーも高まる傾向にある。引き続き、この世代のネット利用動向にも注目していきたい。
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