日本インターネットプロバイダー協会など、国内の電気通信・放送関連4団体は5月23日、ユーザーのネット利用の帯域を制限するガイドラインを策定した。
ガイドラインは、日本インターネットプロバイダー協会のほか、電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本ケーブルテレビ連盟の4団体が共同で策定したもの。PtoPファイル交換ソフトの利用拡大などにより、一部のヘビーユーザーによって帯域が占有されるといった事態を解決するため、ほかのユーザーの帯域確保を目的としてISPなどで帯域を制御する際の運用基準を示している。
帯域制御については、2006年11月から2007年9月まで総務省で開かれた「ネットワークの中立性に関する懇談会」でまとめられた報告書において、帯域制御の運用基準にかかる必要最小限の運用ルールの策定の必要性が提言されていた。今回のガイドラインはこれを受けて、4団体で検討されてきたもの。
ガイドラインでは、基本原則としてネットワークの混雑回避のためには、ネットワーク設備の増強によって対処すべきであることを掲げている。その上で、特定のヘビーユーザーのトラフィックがネットワーク帯域を過度に占有している状況が一定の客観的データによって裏付けられる際に例外的に帯域を制限すべきだと定めている。
一方、PtoPファイル交換ソフトの利用に起因して著作権を侵害するコンテンツの配信が多く発生していることを理由に帯域制御をする場合は、ISPなどがコンテンツの違法性を個別に判断することは困難であり、一律に帯域制御を全ユーザーに対して実施することは、一般的に合理的な範囲を超えていると示されている。
また、「PtoPファイル交換ソフトの利用に起因して生じるセキュリティ上の問題への対処」と称して帯域制御をすることについては、ユーザーに対して一律に実施すべき性質のものではないと指摘。ユーザーの希望に応じたオプションのサービスとして、個別の同意を得た上で実施することが適当とであるといった方針が示されている。
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