弊社代表が中心となって「RSSマーケティングガイド」を出版してから1年半がたち、RSSをめぐる状況にも変化が出てきています。この連載では、RSSという技術がウェブにもたらしつつある潜在的な変化と、顕在化している影響について、いくつか描いてみたいと考えています。
まず、象徴的なグラフをご紹介します。
これは、消費者が選択できる情報の増加を表したグラフです。1990年代の後半以降、情報の供給量が、ものすごい勢いで増大しているのがおわかりいただけるかと思います。
「情報」という商品が限られたものからありふれたものに変わるにつれて、原理的には情報の価格はどんどん低下していきます。
情報の入手に際して消費者が支払うものは、「金銭」と「時間」と二つの対価があります。無料で入手できる情報が増え、金銭的な対価は徐々に徐々に下がりつつあります。しかし、時間的な対価については、人間が情報を消費する際にかかる時間がゼロになるということはないですし、一定以下に下がることはないでしょう。
結果として、消費者の注目や関心を占有できる時間を奪い合うという競争がさらに激化していくことになるはずです。このような考え方は、消費者の注目(アテンション)を希少な財として考える「アテンション・エコノミー」という概念にまとめられて語られることがあります。
アテンション獲得競争が厳しくなる中で、自社のサイトで情報を配信し消費者が訪れてくれるまで待つ、という姿勢だけでは対応できなくなってきています。
当然、検索連動型広告を出したり、クロスメディアでプロモーション展開を図ったりというような、自社のサイトへ誘導する施策はどの企業もとっていますが、ここにきて、さらに新しい考え方が出始めています。
「サイトの機能や情報を、自社サイトに誘導してから提供するのではなく、消費者がよく利用する場所で提供してしまおう」という、下図のような考え方です。
例えば、海外のウェブサービス紹介サイト「Techcrunch」では、「Hot or Not」というルックス評価サイトについて、同サイトそのものへのトラフィックに対し、「Facebook」というSNSの一部として(「ウィジェット」として)使われるケースが40%にも上っていることを紹介して、次のように述べています。
「Webデスティネーション(引用者注:目的地となるサイト)にトラフィックを呼び込むという概念は大手以外のサイトでは全滅かもしれない。 今サイトはウェブ上どこでも生き永らえるような能力を備える必要に迫られている」(TechCrunch Japanese アーカイブ「HotorNotは単なるFacebook対応アプリになるべきか?」より)
例えば、下に列挙するような最新のインターネット環境のほぼ全てに、なんらかの形で他のウェブサイトの一部のみを切り取ってサービス提供できる仕組みが組み込まれており、これらを総称して「Widget」と呼ぶことが多いようです。
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