電通の発表した「2008年(平成20年)日本の広告費」によるとマスコミ四媒体広告費は前年比92.4%となり、4年連続して前年を下回る結果となった。一方で、こうした市況下でもインターネット広告費は前年比116.3%と伸びを見せている。
特筆すべきは、モバイルセグメントの検索連動型公告の伸び率が前年比200.0%と、非常に大きかったことである。NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの3キャリアのポータルトップからは容易にキーワード検索が可能となり、“モバイル端末からの検索”という行為が一般化しつつあると考えられる。
2009年2月17日に発表された、gooリサーチとjapan.internet.comの共同アンケート調査でも、携帯電話でのキーワード検索経験者は約83.2%という結果となり、それを裏付けた。
モバイル端末からの検索が日常化する中で、2009年5月下旬にEZweb検索サービスの検索結果がリニューアルされた。画面上部に「電子書籍」「着うた」「着うたフル」「本」といったリンクが設置され、クリックすると検索キーワードに連動した各々のコンテンツを表示する仕組みとなっている。
たとえば、au oneから「マーケティング」と検索し、結果画面の「電子書籍」というリンクをクリックすると、マーケティングに関連した電子書籍が複数表示される。つまり、検索ユーザーは「マーケティング 電子書籍」と検索しなくてもマーケティングに関する電子書籍に辿り着くことができるというわけだ。
筆者は、検索ユーザーとモバイルコンテンツの距離を縮めるという意味で、非常に有意義な取り組みと考える。それと同時に、SEOの重要性がより高まったと考える。
というのも、「マーケティング 電子書籍」の一覧ページに表示されるページには当該キーワードが必ず含まれているからだ。検索キーワードに関連した電子書籍を表示するロジックには、テキストマッチングテクノロジーが採用されていると推察される。
これは、検索エンジンがページのHTMLソースコード内に記述された文字列を解析し、そのページが訴求する内容を判定する際に用いられる技術で、SEOを考える際、最も基本であり重要となる部分である。
ただし、検索エンジンが解析の対象とするウェブページには条件があるので注意したい。当然のことながら、検索エンジンがWWW上におけるウェブページのデータを収集する際に放つプログラムである“クローラ”にページが読まれているという条件である。
また、言うまでもないがEZweb検索サービスのようなキャリア公式検索エンジンは、公式コンテンツのみを検索結果に表示させる。これらを首尾よくインデックス化していくために、公式コンテンツに登録された領域のみをクロールする設計となっている。よって、サイト及びドメイン間のリンク構造を判読しにくい環境にある。
こうした外部リンクを評価されにくい状況下にあるため、サイト内のテキストマッチという指標が高く評価される傾向が強くなるのである。
ウェブページを作成する際は、クローラのアクセスが遮断されない設計か、クローラがアクセスした際は的確にページのテーマ性を訴求できているかを念頭に置いていただきたい。
検索結果がリニューアルされても、クローラの収集したデータを元に検索結果を表示するという技術が変わらない限り、SEOへの取組みは不可欠である。また、モバイル検索ユーザーとの接触機会の最大化を考える上で、有意義なプロモーション活動を実現させるためにもSEOは重要なのである。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」