これまでアフィリエイト広告の最新トレンドについて、リスティングとの比較、アフィリエイトの持つ危険な側面、ASP選定、アフィリエイトサイトと様々な角度から触れてきた。
日本で本格的にサービスが展開されてから10年を迎えるアフィリエイト広告は今後どのような方向に向かっていくのだろうか。最終回の第5回はこの内容にフォーカスしてみたいと思う。
ここ数年、アフィリエイトでの顧客獲得における成果の“質”の部分を広告主は懸念するようになってきた。特にアフィリエイト市場で最も売り上げ規模の大きい金融業界で一番顕著にその傾向が見受けられる。とりわけクレジットカード、ローンカード、外国為替証拠金取引では大半のクライアントが“質”を強く意識した運用を実施している。
これまでのアフィリエイトは提携メディアの増加=獲得の増加という認識のもとメディアの拡大が最重要視されていた。そのために、クライアントがメディア側に歩み寄り、より万人受けするプロモーションの策定に注力していた。
たしかにアフィリエイト広告の持つ“バイラルマーケティング”の側面を考えるとあながちズレてはいないが、先に挙げたアフィリエイトの売上規模の大きい業界(クレジットカード、ローンカード、外国為替証拠金取引)では、この方法はもはや主流とは言い難い。
ではこれらのクライアントは実際にどのように運用をしているのか。
それはこれまでの展開と逆行し、アフィリエイトサイト数を絞りこむという方向性だ。ユーザーの遷移を効果検証したうえで、アクティブユーザーをより多く集客してくるアフィリエイトサイトを残し、それ以外の媒体はクライアントにとって有益ではないユーザーを集める媒体と判断し提携を解除する。そうしてサイトを絞り込むことで、より費用対効果の高いプロモーション運用を行っている。
一見広告を掲載してくれる媒体が少なくなると獲得数が減少するのでは、と心配になるようなプロモーション展開だが、実際にこの運用方法はいくつかの条件が重なりあってはじめて成立している。
金融業界のクライアントに共通するのは、アフィリエイトサイトへの信用を重要視している点である。
ローンカードの場合、2007年12月の貸金業法改正により、アフィリエイトサイトでの誤表記掲載が金融庁からの指摘を受ける対象となった。外国為替証拠金取引においても、2008年6月にアフィリエイトサイトの誇大広告が原因で、広告主がユーザーから告訴されるという報道があり、広告主が大打撃を受ける事件があった。
こういった事象から、広告主のブランディング保持のため、信用のでき、かつ獲得力のあるサイトを広告主の管理が行き届く範囲内で運用していく方法に変更することが必須となった。
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