マーケティングチャンネル
鳴海淳義(編集部)
2009/09/08 12:57
「広告主は良い内容の記事を書いてほしいと思っており、ブロガーは自分のブログを個人の自己表現の場であると思っているもの」。この折り合いをつけるのが難しいとライブドアの田端氏は言う。
「悩みながら試行錯誤しているのが正直なところだが、我々は基本的には読者をだまし討ちするようなことはないようにしている。手法で言うとペイパーポストはやっていない」(田端氏)
ここでいうペイパーポストとはブロガーに金品を渡し、さらにその事実を公にせずに見返りとしてブログ記事を書いてもらう行為を指す。
ライブドアの田端氏それでも自ら「グレーゾーン」と認める事例もある。ライブドアでは、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)さんのタブレットPCをブロガーにモニター提供し、ブログ記事を書いてもらったことがある。
PCは高額な商品であるため、「モニター利用というのが事実上『金品』の『品』のほうの提供じゃないかと言われたらそうかもしれない」としながらも、「非常におもしろい記事があがってきた」成功事例であったという。
日本HPはタブレットPCをビジネスツールとしてて設計、マーケティングしてきたが、実際には子どものいる家庭で平仮名の学習ツールとして使われているレビュー記事があがってくるなど、新しい使い方が発見されたという。
「我々がブログをはじめとしたコンシューマージェネレデットメディア(CGM)のマーケティングで大事だと思っているのは、完全にコントロールするというよりも、積極的にいい意味でコントロールするのをあきらめるということ。台本が事前にあると、それはカンバセーション(対話)マーケティングではない」(田端氏)
サイバーエージェントでは、一般ブロガー向けに「ブログネタ」という形で企業から広告案件を告知している。ブロガーが面白いと思ったら、ボタンをワンクリックして記事にできるようになっている。
サイバーエージェントの小池氏
「ブログネタは面白くなかったら本当に記事にされない。ブログ記事数がゼロなるリスクもあるが、平均で5000〜6000ぐらい、一番多くて2万ぐらい記事にしてもらえた。ブロガーに対して金品などのインセンティブの提供は一切ない」(小池氏)
サイバーエージェントでは芸能人のブロガーを多く抱えている。その芸能人に広告主がブログ記事の執筆を依頼する「記事マッチ」という広告商品もある。芸能人は対価を得てブログで商品やサービスを紹介している。「当社がお仕事としてタレントに頼む場合は、金品の提供はある。ただそのケースでは、まずはブロガーの意思を損なわない、指示もしない、我々が何か操作することは一切ない」と小池氏は言う。サイバーエージェントがタレント事務所に対して広告主のサービスや商品のプレゼンテーションし、それをタレント側が気に入ればブログに書くという仕組みだ。金品の提供はあるが、サイバーエージェント側が記事の内容を操作しないといったルールも定めているという。
だが、それでも炎上してしまう。
ある広告代理店がサイバーエージェントを通さずにタレントにブログ記事執筆を依頼したことが原因で、薬事法に抵触するような内容のブログ記事がアメーバの多数の芸能人ブログに掲載されたことがある。結果的に広告と明示されていないペイパーポストとなり、ネット上で話題となった。
「タレントは広告の業界のことはわからない。そこの気遣いは我々がやっていたが、問題も少しずつ起きてしまっている。これから業界全体でルールを作り、基準を設けて、可能性を狭めないようにしていきたいと考えている」(小池氏)
田端氏も、企業からスポンサードされていることを表示していれば、芸能人ブログを活用したプロモーションに問題はないという立場だ。
ただ、その効果については疑問を呈した。
「例えば石川遼さんが自分のブログで全日空のことを書いたら、タイガー・ウッズが自分のブログでナイキのクラブを褒めたら、どう思うか。『それでもいいから褒めてください』というニーズがあるのはわかるし、それはそれでいいが、いちユーザーとしては臭う。だから徐々に効果がなくなっていくと思う」(田端氏)

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なぜ広告の投稿、モニター投稿なら、「広告」「モニター記事」という表記をしないのか、記事広告ならば記事広告と明記するだけのシンプルなルールを導入すれば良いだけなのに、躊躇して、目先のレスポンスを捕るだけの業界人には呆れるばかりだ。長い目で見れば、結果駄目になるのは明白なのに。消費者はバカじゃない、とわかっているのなら、「このブログ記事は広告です」「これはモニター記事です」と明確にしたほうが後々信頼は高まるというのに、とても残念。