空から「靴」届けます--クロックスが“軽さ”訴求にドローン活用

井指啓吾 (編集部)2015年02月04日 11時30分

 「動画元年」と騒がれていた2014年が明け、2015年は「ドローン元年」との声が聞かれる。米国際無人機協会(AUVSI)が発表した「ECONOMIC REPORT」の予測では、ドローン(自動制御された小型飛行機)の市場規模は2025年までに米国内だけでも820億ドル(約9兆6000万円)に達し、10万人以上の雇用を生み出すという。

 米国ではAmazon.comが2013年12月、ドローンを使った商品配達をテストしていることを公表。その後、米連邦航空局(FAA)による認可が下りないため英国で飛行実験を実施している。2014年8月にはGoogleが、ドローンを使った配送サービス「Project Wing」の実地試験の様子を公開。Facebookも「Connectivity Lab」という取り組みを通して、無人飛行機を研究しているという。

 1月に開催された「CES 2015」にも多くのドローンが出展された。米CNETのJoshua Goldman記者は、屋内で飛ばすものや、ビーチの上を飛行するもの、スケートボード場でユーザーを追尾飛行するといったユニークなモデルがすべてそろっていたと伝えている

 一方、日本ではセコムが、工場やオフィスなどに侵入した不審者を上空から追跡して犯行の様子を記録する「小型飛行監視ロボット」を開発しており、2015年初旬の実用化を目指している。視点を変えてエンタメ分野では、2014年紅白歌合戦で、音楽ユニット「Perfume」がドローンを使った演出を取り入れていたのが記憶に新しい。

 安全面やプライバシーなどの問題もあるが、2014年10月に一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が発足するなど、ドローン運用のルール作りに向けた動きが出始めている。

「空飛ぶ靴屋」実現へ

 そんな状況の中、フットウェアブランドのクロックス・ジャパンが、新たなタウンシューズ製品「norlin(ノーリン)」の3月5日の発売にあわせ、ドローンを使った消費者向け企画を練っている。企画名は「空中ストア」で、コンセプトは「おどろきを持った軽さの体験」。“片足あたり卵2~3個分相当”という軽さを訴求するために、ドローンの活用を決めたそうだ。


 企画の内容は、専用ディスプレイに設置されたさまざまな色のシューズの中から、iPadで好きな色を選択すると、ドローンが指定されたものを掴み、飛んで手元まで届けてくれるというもの。

 関係者によれば、ドローンによるシューズのつかみ方がまだ決まっておらず、「地引網方式」「磁石方式」(写真参照)のいずれかを検討している段階という。今後、2月に実証実験を行い、3月5日~3月8日に本番を迎える予定だそうだ。


地引網方式
  • 磁石方式

  • 地引網方式のシューズ側の仕掛け

  • 磁石方式のシューズ側の仕掛け(磁石装着)

 なお、将来的にドローンによる商品配達を計画しているのかとの問いには「現時点では考えていない」とした。

 これはキャンペーンとしての一時的なものではあるが、特に「撮影」以外の用途でのドローン活用例として、今回注目した。これを皮切りに、2015年は企業によるドローン活用、実用化に向けた動きが加速しそうだ。

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