カリフォルニア州レッドウッドシティ発--「これは自分で苦虫笑いと呼んでるものでね」
これは、このインタビューを行った日、Peter Moore氏がElectronic ArtsのスタジオショーケースでEA Sportsのプレジデントとして初めて公の場に立ったときに自分の写真についておもしろがりながら話したときのせりふだ。しかし、この台詞には同氏の違うゲーム会社での新しい執行役員としての態度が見事に表現されている。
Moore氏は以前、MicrosoftでPC、Xbox、そしてXbox 360のゲームの広報を行う役割を務めていた。E3 Media & Business Summit 2007のプレス発表の司会を務めたわずか数日後に、彼はMicrosoftを退社した。そのMicrosoftのイベントの大部分はEA Sportsのタイトルで占められており、Moore氏は高らかに、EA SportsのMadden NFL 08はXbox 360では60 fpsで動作するが、PLAYSTATION 3では30 fpsの性能しか出ないという事実を宣伝していた。
しかし、その後2カ月も経たないうちに、Moore氏はステージ上で「わたしのお気に入りのゲーム機」であるPS3のゲームを宣伝していた。多くのMicrosoftの忠実な支持者たちには裏切りに見えたであろう、Sixaxisコントローラーを持つ姿を見せたすぐ後には、彼は誇らしげにWiiリモコンとヌンチャクを持って見せた。「そしてこれがわたしのもう1つのお気に入りのゲーム機です」と彼が話すと、聴衆からは陽気な笑い声が起こった。
Moore氏のプレゼンテーションの泣き所だったのは、今後発売予定のEA Tiburonが開発したスポーツトリビアゲーム「EA GameShow」のデモでの耳障りな音声ノイズだけだ。GameShowはこの秋に発売される予定で、PCからの無料ダウンロードでは、プレイヤーは国中の他のプレイヤーとスポーツに関する知識を競い合い、賞を取ることができる。問題はテキスト、ビデオクリップ、そしてEAのTiburonスタジオからのライブのDJで示される。
実際、Moore氏自身が、歩くスポーツトリビアのジュークボックスだ。彼は聴衆に対してサッカーの熱烈なファンであると言いながらも、彼のコメントはアメフトに対する広い知識を示していた。アーケードスタイルのゲームである「NFL Tour」の宣伝の中で、彼は「Maddenの呪い」についても言及した。
「選手たちはこの呪いにも関わらず、われわれのゲームのパッケージに載るのが大好きだ」という発言の前には、「まあ、呪いは彼らが小切手を現金化するのを邪魔したりはしないからね」とジョークを飛ばして見せた。
Moore氏のユーモアは、彼がかつてのライバル企業の製品を宣伝するのに全くためらいを見せないという事実と矛盾する。Microsoftにいた際にも、それ以前にはメガドライブの最後の時期にセガで働いていたという意味で同じ立場に立っていたが、現状の三つ巴の戦いの恨みを忘れるのは、多くの人にとっては難しいことだ。しかし、今回のGameSpotのインタビューでは、Moore氏は相変わらずリラックスしていて冷静に見えた。
わたしの新しい役割では、それぞれのプラットフォームの価値や性質に対して、全く異なる観点を取ることができます。Wiiに対しても、PS3に対しても、われわれはXbox 360が持たない利点を生かすことができます。これはXbox 360についても同じで、特にXbox LiveとEAとMicrosoftが過去に行ってきた素晴らしい仕事についてはそう思います。
しかし、わたしは自分の仕事が何であるかを正確に知っていますし、その職務を全うするつもりです。これは、3つの家庭用ゲーム機メーカーと一緒に非常に積極的に働き、PCや携帯ゲーム機などの他のプラットフォームにも配慮していくということです。ですから、わたしについては心配ご無用です。
そう、これはまだ始まったばかりだと思います。今年のクリスマスは素晴らしいものになるでしょう。そしてわたしは、(EA Sportsが)クリスマスシーズンには業界最高のゲームラインアップを提供するという宣言を守ります。NCAA Footballの出荷を皮切りに、Madden NFLやTiger Woods PGA Tourが続きます。
ゲーム機戦争については、まだゲーム機同士が小競り合いをしている段階です。今はまだ数百万台規模の市場で、Xbox 360についても1000万の桁に乗ったかもしれないというタイミングです。プラットフォームのライフサイクル全体では何億台もの出荷総数になると予想されているわけですから、これはまだ初期段階に過ぎません。
はい、はい、はい。
NBA Live 08では解消される予定です。これまでには少し不手際があったのですが、PS3での開発の調子は上がってきています。この問題は過去のことです。NBA Liveを始めとして、それ以降のEA SportsのPS3用タイトルは、60 fpsで動きます。ですから、クリスマスシーズンにはこの問題は忘れられているでしょう。
PS3でも60フレームで動くようになります。消費者の手にそれが渡れば、Maddenの問題は昔の話になるでしょう。どんな開発サイクルでも、特に開発スタジオが360をPS3よりも早くから扱っているいるわけですから、1年後に出たハードウェアに慣れるのが遅れるのは、通常のことです。これはその影響のなごりです。しかし、それも終わりました。11月にNBA Liveが出荷されるころには、すべて解決済みです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」