収益源は「寄付」、個人情報は「一切取らない」--ケータイゲーム「コロプラ」の不思議な魅力

永井美智子(編集部)2009年06月17日 17時05分

 携帯電話の位置情報を使って遊ぶ「位置ゲー」というジャンルのゲームが注目を集めている。ユーザーの現在地や移動距離などに応じてゲーム内のアイテムや通貨が獲得できるというもので、いつでも持ち歩ける携帯電話の特性をうまく生かしたジャンルといえるだろう。

 この位置ゲーの最古参企業で、位置ゲーというジャンル名を名付けたのが「コロニーな生活☆PLUS」(略称:コロプラ)という携帯電話向けの無料ゲームを提供しているコロプラだ。ユーザーは移動距離に応じてゲーム内通貨をためたり、位置によって異なるゲーム内アイテムを獲得したりしながら、コロニーと呼ばれる島を育てていく。

 もともとはコロプラ代表取締役の馬場功淳氏が個人で運営していたサービスだが、サービスの拡大に伴って2008年10月に法人化。現在は毎月20%超の成長を続けており、2009年5月末現在で利用ユーザー数は20万人、月間ページビューは2億8000万PVにのぼるという。ユーザーの7割以上が20代〜40代で、10代〜20代のユーザーが多いモバイルサービスの中では異色の存在とも言える。

 主な収益源は寄付、メールアドレスを含むユーザーの個人情報を一切取得しないのがポリシーという点も、既存のモバイルサービスとは一線を画している。

 コロニーな生活☆PLUSはどのようにして生まれたのか、また、今後どのような事業展開を描いているのか。馬場氏に話を聞いた。

――2003年ごろから位置ゲーを運営していると聞きました。

コロプラ代表取締役の馬場功淳氏 コロプラ代表取締役の馬場功淳氏

 コロニーな生活☆PLUSの前身で「コロニーな生活」(略称:コロニナ)というコンテンツが始まりです。2003年5月、DDIポケット(現:ウィルコム)のAirH" PHONEが出たときに、家のサーバ1台を使って無料でサービスを開始しました。

 なぜそれを作ったかというと、AirH" PHONEという端末は当時すごく先進的で、パケット定額でなおかつ位置情報が取れたんです。今だと当たり前の機能ですが、それが6年前にあった。

 当時、私は九州工業大学というところにいて、KLabの「大学前ケータイラボ」というところに参加して、iアプリをいろいろ作っていました。それが楽しくなってしまって、大学院を辞めることにしたときに、家にサーバを置いたんです。

 自分しかそのサーバにアクセスしないのもつまらないので、何かやろうかなと思っていたら、ちょうどAirH" PHONEが発売された。今まで懸案だったパケット料金の問題が解消されて、なおかつユーザーの位置が取れる。携帯電話の一番の価値は人と共に動く、常に持ち歩いているということにあるとずっと思っていたので、これを使って何かできないかと考えました。

コロニーな生活☆PLUS 「コロニーな生活☆PLUS」

 そのとき、徐々に成長するものが面白いと感じていたので、携帯電話で街を作るゲームがあるときっと面白いだろうと思いついたんです。どこでも(成長を)確認できるから、携帯電話との親和性は高いですし、位置というキーワードも、例えば街が自分と共に移動して動くと面白いんじゃないか。でも街は動かないから、「浮かんでいる街」ということで、コロニーはどうかな、と。

 動いたら何が楽しいんだということについては、インターネットは世界中の人とつながれるものだけれども、逆にそれを制限したら面白いんじゃないかなと考えました。ゲームって「罰」と「報酬」から成り立つので、それをストレスとして与えれば、偶然の出会いが面白くなるんじゃないか――それで、近くの人だけに交信ができるモデルを作ったんです。

 初めはすごく反対されて、「何か良いことをされても(相手が移動してしまえば)お礼も言えないじゃないか」などとずっと言われていたんですけど、「僕はそのほうが面白いと思うんで」と言って頑なにやっていた。そうすると、ユーザーも「たまに会えた」とか、「こんなところで会えた」ということが楽しみになってくる。つまり、一期一会という状況です。それがサイト上でコロニナの中で再現できたのかなと思います。

――最初からコンセプトを固めていたんですね。

 きっちり固めていました。若かったんですね、考える余裕があった(笑)。

――コロニーな生活☆PLUSでは、コロニーを育てるためにユーザーが自然に助け合う文化ができています。これは何か運営側で仕掛けたのですか。

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