シックス・アパートは、個人向けの新ブログサービス「Vox」を10月28日に開始した。無料で利用できるほか、初心者でも簡単にブログを続けていくためのさまざまな仕組みが盛り込まれている。また、ブログの内容を、記事や写真単位で公開範囲の制限を付けることで安全性を高めている。
ブログソフトのMovable TypeやブログサービスのTypePadを提供してきたシックス・アパートが鳴り物入りで開始した新サービスを同社はどのように展開していく戦略なのか。代表取締役である関信浩氏に聞いた。
ブログというのはもともとインターネット上で情報を発信するツールだったと思います。今回の正式サービスは、日本のほかにも米国、フランスで同時に開始していますが、海外でブログというとニュースメディアに対するカウンターメディアとして、一般の意見を発信するツールという認識で、ジャーナリズムの意味合いが強くなっています。
一方、日本ではブログが世界より遅れて入ってきたことと、もともとオンラインで日記を書くという文化が土壌としてあったことから、コミュニケーションツールとして定着しています。特定の相手に情報を発信するコミュニケーション機能を持っているのがVoxです。また、Voxでは特定の相手に情報を発信するという観点から、安全性を重視した機能を搭載しています。
我々自身はVoxを「ブログ」だと考えています。いろいろとSNS的な要素を含んでいるということを言われますが、実際のページを見て頂くとブログであることが分かるかと思います。VoxがSNS的だととらえられているポイントは、「(今までのブログに比べて)よりパーソナルなコミュニケーション」を実現しているところでしょう。
SNSというとmixiなどを思い浮かべるかと思いますが、自分が友達を登録し、それに友達も承認するという「リレーションシップ」が重要です。また、友達を増やす楽しみや共通の趣味の人を探すといった楽しみが大きな魅力になっています。しかしVoxでは友達を増やしていくのではなく、もともとの友達に対して情報を発信するというコンセプトです。
ブログの中に公開している写真に自分の顔が写っていたら、特定のユーザーにしか公開したくないと思うことがあります。そんな場合、今までであれば別のブログを用意しなければいけなかったのですが、1つのブログで、公開する情報を制御することで使いやすくなりますよね。Voxはそういったことを実現しています。
簡単に更新できることを第一にしているため、初心者から中級者がメインのターゲットになるでしょう。これは現在、もっとも望まれているブログサービスでもあります。ブログを書くことが面倒で敬遠していた方も、Voxなら手軽にブログを始めることができると思います。
今ブログを書いている人は、ジャーナリスティックに書くべき話があるユーザーや友達とのコミュニケーションに使うユーザーでしょう。しかし、「ブログを始めたのはいいけど、書くことがなくて三日坊主になってしまう」という声を聞きます。ですのでインタラクティブな仕組みとしてQotDやVox Huntといったサービスを提供しています。
QotDは、Voxから質問の形で毎日「お題」を出すというサービスで、ブログに書くネタがないという方でも質問に答える形でブログを書くことができます。
Vox Huntは、QotDと同様に毎日テーマを提供し、テーマに合った写真をアップロードしてもらうというサービスです。これらのサービスに返信していくだけでも毎日ブログを更新することができます。そうして公開した記事にレスポンスがあれば気持ちいいし、ブログを続けていくモチベーションを向上させます。テキストがなく写真だけをアップロードしてもデザインが完成するように、ビジュアル性を高くしています。150種類以上のデザインテンプレートが用意されていることも特徴の1つです。
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