先ごろボストンで開催された「LinuxWorld」カンファレンスで、中国政府が資金を提供しているある団体が、「北京:アジアにおけるLinuxの中心地("Beijing: Asia's Linux Capital")」と書かれた袋を熱心に配っていた。
LinuxWorldでは、中国企業から派遣されてきた代表者らの影響力が大きかったため、「Linux in Beijing」デーと銘打たれた日が特別に設けられ、さまざまな企業がサーバやデスクトップ、モバイル機器へのLinux採用をいかに拡大するかについて説明していた。
これは、中国でのオープンソースを取り巻く状況が変化してきていることを示す1つの例といえる。政府がオープンソースに対する支持を公式に表明し、一連の取り組みに資金を提供した一方で、政府部門での大規模なオープンソースへの移行はほとんど実現していない。しかし、中国政府が各省庁に国内で開発されたソフトウェアの利用を義務づけたことから、こうした状況も変化するものとみられている。さらに、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟したことで、各省庁はMicrosoft製ソフトウェアの不正コピー利用をやめ、かわりに正規品を使わなくてはならなくなっている。
ZDNet UKは、LinuxWorldの会場で、中国のLinux関係者に話を聞いた。中国の大手デスクトップLinuxベンダーであるSun Wah Linuxでマーケティングの責任者を務めるAlbert Chung氏は、このインタビューのなかで、オープンソースソフトウェアがデスクトップ市場でまだ受け入れられていない理由を語ったほか、顧客のサクセスストーリーや、同社独自のLinuxディストリビューションを開発する際に直面した難問について話をした。
Albert Chung氏:われわれはSun Wahグループの一員です。Sun Wahグループはプライベートバンキング、インフラストラクチャ、テクノロジなどのさまざまな分野でビジネスを展開しています。われわれは、当初は独自のLinuxディストリビューション開発を考えていませんでした。ディストリビューションの保守にはたいへんな手間がかかるからです。
われわれは2000年に、Linuxデスクトップでの中国語の取り扱い方に関するプロジェクトに取り組んでいました。Linuxでの中国語の扱い方は、英語の扱い方とは異なります。英語では文字エンコーディングの体系が1つしかないのに対し、中国語の文字エンコーディング体系は3つあるからです。中国本土ではGBコード、国際的にはUnicode、台湾ではBig5が使用されています。世界でやり取りされている中国語ドキュメントは、この3つのエンコーディング方法の間に互換性がないせいで、文字化けを起こすことが多いのです。
(Sun Wahが拠点を置く)香港は国際的な都市であることから、われわれはこれら3つの文字コードで書かれた書類をすべて扱う必要があります。そこで、われわれはこの問題を解決するためにプロジェクトを立ち上げました。そして、Unihanというシステム(統一文字エンコーディングの単一セット内に複数の文字セットをマッピングするシステム)を作り出したのですが、その後も、このシステムをさまざまなデスクトップ用Linuxディストリビューションに組み込む必要がありました。その作業には膨大な手間がかかりました。
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