フリーソフトウェア界の白馬の騎士 - (page 3)

文:Ingrid Marson(ZDNet UK)
翻訳校正:坂和敏(編集部)
2006年04月18日 17時59分

--Linuxの生みの親であり、Linuxカーネルの保守も行っているLinus Torvalds氏は、Linux OSのライセンスをGPL 3に移行しないと明言しています。これについては、どうお考えですか。

 私は、利用者がどのライセンスを使うべきかについてコメントする立場にありません。ライセンスについて顧客にアドバイスはしますが、どのライセンスを選択するかは顧客次第です。ライセンスの選択は慎重は判断が求められる作業です。

 Torvalds氏の公式の発言にはすべて目を通しましたし、一部の非公式の発言も読みましたが、特に異論はありません。われわれは別段対立しているわけではないのです。

--Torvalds氏はまず、GPLに関して、FSFのように宗教的な考え方はしていないと主張しています。彼はGPLを、人々を公明正大に振る舞わせるための手段と考えています。決してソフトウェアの利用を制限することが目的ではないと。自由というものに対するあなたの姿勢はほとんど宗教的であるという点に同意しますか。

 この件に関するLinusの考え方はよく考えられたものだと思います。われわれと完全には価値観を共有しない人には、ソフトウェアの自由に対するわれわれの態度が宗教的な信念から来ているに違いないと見えるかもしれません。しかし、われわれの態度は宗教的な信念や原理からきているのではありません。単に、ソフトウェアの自由を徹底して忠実に守っているというだけです。

 私には自由というものが他の社会的価値と同じくらい重要なのです。

--Software Freedom Law Centerは、GPL条項違反の取り締まりにも関わっているのですか。

 FSFには毎年、GPLのライセンス条項に従っていない人たちに関する多数の報告が寄せられます。人々をライセンスに従わせるのは難しいことではありません。ほとんどの場合、1回警告の通知を送るだけで修正に応じてくれます。弁護士の仲介が必要になるケースはほとんどありません。

 われわれは、ライセンス条項を弁護士に一儲けさせるための罠にするつもりはありません。ライセンスが機能するのは、それが人々を傷つけるための仕組みではなく、人々に協力を求めるための仕組みだからです。StallmanとFSFに関する悪いうわさを耳にすることがあるかもしれませんが、われわれは特許料の未払いを理由に営業を中止させるようなことは決して行っていません。ライセンスを遵守してもらえる可能性があるのに、ライセンス条項に違反したからといって即罰則を与えるようなことは決してしてはならないと、Stallmanから指示されていますから。

--Software Freedom Law Center所属弁護士はソフトウェアおよびソフトウェア開発についてどの程度の知識があるのですか。

 ここで働いている弁護士は、ソフトウェアに関する高度な専門知識を備えています。ここは言わばハッカーの法律事務所です。われわれの顧客はコンピュータプログラムを書く人たちです。彼らは、コードの理解度の高い人を尊敬し、コードを書けない人に対しては我慢ならないことが多いのです。私がStallmanを効率的に弁護することができたのは、1つには、コードに関して疑問が生じたら単にコードを読めば済んだからです。

 充分な人員を確保できる会社であれば、弁護士にプログラマとしての素養は必要ありません。われわれにとっての問題は、費用を抑えながらいかに高レベルのサポートを提供するかという点です。ですから、高レベルの技術知識が必要になります。

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