「ビジネス市場では予定の変更はない」。Microsoftは先ごろ企業顧客にそういう趣旨のメッセージを発した。
Microsoftは米国時間3月21日、今年の年末商戦期に店頭に並ぶ新しいPCに「Windows Vista」と「Office 2007」が搭載されることはないと発表した。だが、同社は26日に、新しいビジネスソフトウェアの出荷計画がほぼ予定通りに進んでいることを明らかにした。
Microsoft会長のBill Gates氏は、長い1週間を過ごした後、ほとんど休む間もなくテキサス州に向かった。「Convergence 2006」カンファレンスで、同社の最も知られざる部門--Microsoft Business Solutions(MBS)グループの最新情報を披露するためだ。
Microsoft は5年前から、Great Plains Softwareを皮切りに、複数の企業を買収し、これらの企業の製品をまとめて、ひっそりと新しいグループ--MBSを立ち上げた。このグループが扱う製品は、SAPやOracleの製品と同じカテゴリに属するが、標的とする顧客は中規模企業だ。
CNET News.comはGates氏にインタビューを行い、Windows Vistaに関して同社が直面している課題、MBSグループの展望のほか、Microsoftが全社を挙げて推進しているホステッドソフトウェアへの移行について話を聞いた。このインタビューにはGreat Plains Softwareの元最高経営責任者(CEO)で、現在はMBSグループを統括するDoug Burgum氏も同席した。Burgum氏はMBSグループの日常的な管理業務からは退いているが、引き続き同グループのチェアマンを務めている。
Gates氏(以下、敬称略):ひとつの鍵はアーキテクチャのレイヤリングです。Windows Vistaでは、この点に莫大な投資を行いました。昨年も、Windows Media Player、Media Center、Tablet PCなど、多くの製品が登場し、さまざまなWindowsがリリースされました。いうまでもなく、その最大のものはセキュリティを強化した「Windows XP Service Pack 2」です。変化には目に見えるものと、目に見えないものがあります。目に見えない変化が最も多いのは、セキュリティの分野です。Windows XP Service Pack 2では、ユーザーインターフェースを変えないことを目指しました。ブラウザには複数のアドオンが加わりましたが、それを除けば、目に見える変化はほとんどありません。当社には互換性をテストし、互換性を維持したまま、ソフトウェアに変更を加える高度な技術があるのです。
Gates:どのバージョンのWindowsでも、アーキテクチャにはさまざまな変更が加えられますが、今回は特に、アーキテクチャ関連の作業が多いかもしれません。当社の顧客はエンドユーザーと開発者です。当社のソフトウェアを彼らが複雑すぎると感じるようなら、われわれは開発者として、適切な仕事をしていないことになります。たとえば、開発作業を楽にするために、Windowsに2種類のファイルシステムを導入したとしましょう。このようなシステムでは、ユーザーはある部分ではリッチなクエリ、スタンディングクエリ、通知クエリを実行できても、別の部分ではプロパティの制限などから、こうしたクエリを実行することができません。ユーザーが2つのパラダイムを学ばなければならないようなシステムは問題です。Windows Vistaには、強力な検索機能を備えたファイルシステムが搭載される予定です。これはわれわれが当初考えていたデータベース志向のファイルシステム(WinFS)とは別のものですが、この検索ベースのファイルシステムでも、われわれが考えていたことの大半は実現できる見込みです。
Gates:企業は複数のソフトウェア--たとえば自社開発のアプリケーション、Office、Windowsなどを同時にアップグレードする傾向にあります。そうすれば、ビジネスプロセスの変更、ユーザートレーニング、サポートなどをまとめて行うことができるからです。更新をすぐに取り入れる企業もあれば、遅れがちな企業もあります。企業には企業のリズムがあり、企業がソフトウェアを更新しようと思ったタイミングは、当社のリリース周期と合う時もあれば、合わない時もあります。つまり、企業のシステムは最新の状態に保たれている時もあれば、数年遅れの状態にある時もあるのです。
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