--エアボードの特徴であったディスプレイをなくすという点は大きな決断ではありませんでしたか。
昔から構想はあったんですよ。エアボードの開発を長年続けてきて、ベースステーションの技術を洗練させることができたからこそ、可能になったんです。Windows PCとPSPという2つの異なるプラットフォームにロケーションフリーを対応させるということは、それだけソフトウェアが洗練されていないとできないことです。
--ロケーションフリーがPSPに対応したきっかけは。
PSPでロケーションフリーを利用した様子。右側にリモコンが表示される |
2004年7月に、SCEIの久夛良木(健代表取締役 兼 グループCEO)と2人で話をした時に、彼から「PSPにもロケーションフリーの機能を載せたい」という話があったんです。その時にこちらとしても同じ提案をするつもりだったので、すんなり話は決まりました。
9月には会社として正式に決定して、双方から担当者をアサインしてプロジェクトがスタートしました。まずUMD(PSPで採用している光ディスクのこと)にロケーションフリーのソフトを入れた状態で動かしてみたところ、2005年の1月頃には実機で動いて、映画が見られる状態でした。
--今後、どのような機器にロケーションフリーを対応させていきますか。
今年度中にPC以外に2機種に対応するという話をしています。1つがPSPですが、もう1つは秘密です。
米国では「LF-X11」という、12.1インチの液晶ディスプレイを展開しています。これは2004年に発売したLF-X1の後継機にあたります。LF-X1は米国ではワイヤレステレビとして人気が出ていましたので。残りの1機種はこのLF-X11ではないかと言う人もいますが、もう少しインパクトのあるものを出したいと思っています。
ロケーションフリーの技術は他社にも提供していきます。これによって、ロケーションフリーの世界がより広がればいい。デジタル家電メーカーなどいろいろな企業に興味を持ってもらっていて、話し合いもしているところです。
--携帯電話への対応予定はありませんか。
はっきりとは言えませんが、この技術自体は携帯電話にも搭載可能です。ディスプレイがあって、ネットワークに接続できるものはすべて対象になります。
--ベースステーションがホームサーバのようなものに搭載されていくこともあるのでしょうか。
1つの製品にあらゆる機能を統合してしまうという方向性には疑問を感じます。例えばルーターの機能はルーターの機能で発展するし、ロケーションフリーの機能もまだまだ進化していきます。一体化したとしても、メリットは大きさやコストの問題だけです。機能面でのメリットがありません。それぞれの機能はこれからも進化していかないといけない。そういう意味では、ベースステーション自体をまだまだ進化させていく考えです。
--今後の海外展開についてはいかがですか。
いまは日本と米国のみの販売ですが、順次中国、欧州での展開を進めていきます。
--ロケーションフリーはかつてのウォークマンのように、これまでになかった新たな市場を開拓できるのでしょうか。
いつでも、どこでもテレビが見られるというのは、今までなかったことです。オーディオも電話も変わったのに、テレビは変わってこなかった。それが、ロケーションフリーによってテレビ以外のものでも、どこにいても家にいるかのようにテレビ放送が見られるようになった。10年前には考えられなかったことです。
こういう、今までになかったことができるようになる商品を、日本はどんどん開発していかないといけません。価格競争力のある中国や韓国と戦っていくためには、商品企画力が最も重要になると思います。
今は飛行機でも無線LANが使える時代です。私は、飛行機の中でNHKの大河ドラマをリアルタイムで見ることが夢です。また、飛行機の中でほかの人が使っているのを見たいですね。
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