G・ムーアが語る「ムーアの法則の40年」

Michael Kanellos (CNET News.com)2005年04月20日 09時54分

 シリコンバレーを作り上げた人々の多くは、すでにこの世にはない。数少ない例外のひとりが、Gordon Mooreだ。

 Mooreが生んだあの有名な法則が、この4月19日に誕生から40年目を迎えた。先日、Mooreは報道関係者との会見に応じ、エレクトロニクス産業の進歩、人工知能、中国の台頭、そして業界の創生期について語った。

--「ムーアの法則」はどうやって誕生したのですか。

 Electronics Magazineの編集者から、創刊35年の記念号に、半導体部品の10年後に関する論文を寄せてほしいと頼まれました。私はシリコンチップがコスト削減を可能にすることを伝えたいと思い、その手だてとして、この予測を考え出しました。当時、チップ上に集積されるトランジスタの数は最大でも30個ほどでした。調べていくと、この数は4倍、8倍、16倍といったふうに、年ごとに倍増していることが分かりました。この予測が特に正確だと考えていたわけではありません。ただ、電子機器は今後はるかに複雑に、そして安価になることを示したかったのです。ところが、この予測は私が思っていたよりもはるかに正確なものでした。

 最初にこれを「ムーアの法則」と呼んだのは、私の友人で、カリフォルニア工科大学の教授だったCarver Meadです。この呼称が定着してからも、私自身はなかなか言えませんでした。何とか口に出来るようになったのは、20年もたってからのことです。

 1975年に、私はムーアの法則を現在の形に書き換えました。その後はほぼ予測通りに進んでいます。それどころか、少し先んじているといってもいいでしょう。最近は24カ月もたたないうちに、チップの集積密度は倍増しています。

--チップの集積密度が倍々に増えていくことが何を意味するのか、それによってどんなことが可能になるのか、当時のあなたには分かっていたのですか。

 今回、この論文を読み返してみて、ホームコンピュータに言及した部分があることに気づきました。そのことに自分でも驚いています。1965年に、私自身がそれを予測していたとは知りませんでした。ホームコンピュータにはアプリケーションが必要です。電子時計に関する記述もありました。足りないのはディスプレイだけ・・・といった話です。Intelは電子時計の開発に取り組んだことがありますが、残念ながらこの試みは失敗に終わりました。

--進歩のペースは鈍化すると思いますか。それとも、新素材の登場によって壁は破られるのでしょうか。

 数世代先の未来を考えるときは、常に越えられそうもない壁が立ちはだかっているものです。

 原子で出来た素材には必ず、これ以上小さくならないという物理的な限界があります。それがある種の限界となり、進歩のカーブをふたたび書き換えることになるでしょう。私は過去に一度、集積密度が倍増する期間を1年から2年に書き換えたことがあります。今度はこれを3、4年に伸ばす必要があるかもしれません。その後はチップのサイズを大きくすればいい。つまり、打開策はあるのです。その頃には、ひとつのチップに数十億個のトランジスタを集積できるようになっているはずです。

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