ソニーはふたたび「クール」になれるか - (page 3)

Richard Shim (CNET News.com)2005年02月24日 16時13分

--あなたは元ジャーナリストですが、ブログや、ブログがニュース媒体に与えている影響をどう思いますか。ブログは読んでいますか。

 読んでいます。われわれの周囲には大量の情報が氾濫しています・・・しかも、そうした情報はあらゆる方向からやってくる。ブログは行きすぎを抑え、均衡を保つためのすばらしい方法だということもできますし、悪いことではありません。難しいのは、大量の情報をどう整理するかです。そのために神は編集者を生み出したのです。私は現在の状況を非常に刺激的だと考えています。引退したらブログを始めて、言いたかったことを全部ぶちまけたいと思うこともあります。

--どうぞ、ご遠慮なく!

 世界には隠されている事実がたくさんあります。プロのジャーナリストでなければ、秘密を暴くことはできないということはありません。私はブログよりも、ニュース・チャンネルの影響をはるかに懸念しています。

 ブログの読者や作者は、ある程度の懐疑心と好奇心、そしてバランス感覚を持ってブログを読んでいます。「ここに書いてあることは絶対に真実だ」と考える人はいないでしょう。しかしニュース媒体を前にすると、多くの人はその内容をうのみにしてしまう。大量の情報を流し続けるニュース・チャンネルは、さまざまな意味で視聴者を混乱させています。そこには本物のニュースはほとんどありません。全国ネットのイブニングニュースを例にとっても、昔に比べると、ニュースが占める割合は大幅に減っています。

 報道のコストやケーブルテレビのニュース番組の利幅の問題から、ニュース報道が減り、トークショウが増えたことを私は懸念しています。なぜ、トークショウが受けているのでしょうか。大半のトークショウは敵対的で闘争的なコメントを述べる場であり、事実はほとんど伝えられていません。巷で目にするブログも変わらないではないかと思うかもしれませんが、ブログを書くということは、実際の情報を追求する行為です。世界は様変わりしてしまいました。事実を探求し、事実をもとに結論を導くという原則が守られていた時代、本物の報道が行われていた時代が懐かしい。それこそジャーナリズムの神髄なのです。

--ソニーの場合、コンバージェンスの概念、つまりさまざまなハードウェアでコンテンツを利用できるようにすることは、他社とは違う意味を持っています。ソニーにはエンターテインメントとエレクトロニクスという2つの資産があるからです。ソニーは他社よりも少しだけ有利なスタートを切りました。ソニーはコンバージェンスを提唱した最初の企業の1つでしたが、今年のCESでは誰もがコンバージェンスを話題にしています。ソニーは今でも優位に立っているのでしょうか。そのリードはこれまでと同じくらい大きいのでしょうか。

 われれれは、テクノロジーの専門家とソフトウェア技術者の両方を擁していますので、他社よりもはるかによくお互いを理解することができます。さまざまな意味で、PlayStationはコンバージェンスデバイスだということができるでしょう。PlayStationが成功した理由の1つは、独自の環境でゲームをしたいという顧客のニーズを理解したことでした。われわれは今でも優位に立っています。それは、これまでとは違う意味で大きな優位だといえます。

 エンターテインメントの分野でソニーが持っている最大の強みは、米国において、ソニーがエンターテインメント企業だと認知されていることです。ソニーブランドが最も強いのは米国です。米国ではソニーはクールな存在ですが、東京では違います。中国でも、もはやそうとはいえません。しかし米国では、PlayStationと映画のおかげで、ソニーはクールな存在であり続けているのです。

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