ソニーはふたたび「クール」になれるか - (page 2)

Richard Shim (CNET News.com)2005年02月24日 16時13分

--今後は音楽だけでなく、ビデオやソニーが所有する膨大な映画コンテンツも配信されるようになるのでしょうか。

 ええ。そしてテレビ番組やゲームも配信されるようになります。おもしろいことに、テクノロジー企業と純粋なコンテンツ企業の思惑は必ずしも一致しません。ソニーにとって、コンテンツのセキュリティは依然として非常に重要な問題です。今、関係者が協力すれば、コンテンツを保護する仕組みを構築することができるでしょう。コンテンツがなければ、ほとんどのデバイスは鉄くずにすぎません。どんなに魅力的な姿をしていても、何も映らないのなら、テレビには何の価値もないのです。

 この点を納得してもらうのは困難でした。セキュリティや著作権保護の問題を軽視しないように電子機器グループを説得するのも困難でした。今の中国では、コンテンツ事業を構築するのは非常に難しいからです。そんなことは不可能です。

 しかし、社内の協力体制は確実に整いました。ハードウェア部門とコンテンツ部門はお互いの直面する問題を理解するようになり、一部の問題については解決の可能性も高まっています。

--確実に整った、というのは時期尚早ではありませんか。Connectサービスははじまったばかりです。

 確実に、というのは大げさかもしれませんが、少なくとも目指すところは一致しています。「われわれには自分たちのしていることが分かっている。君たちには分からない」などという者はもういません。

 いまは全社が一丸となって事業を進めています。PlayStationの開発には、米国ソニーも密接に協力しています。こんなことは、2、3年前には考えらませんでした。本社との関係には非常に満足しています。われわれは協力することのメリットに気づくようになったのです。成功したいのなら、協力しなければなりません。

--協力しなかったことのつけを、我々は目の当たりにしてきました--ソニーは音楽市場でも、エレクトロニクス市場でも苦戦を強いられることになった。音楽分野では、すでに成功モデルがあると考えていいと思いますが、Connectは単なる音楽サービスなのでしょうか。

 いいえ、それ以上のものです。われわれはPlayStationとの連携を進めています。PlayStationはすでにConnectサービスに対応することを決めています。ビデオプレイヤーとの連携にも取り組んでいます--Connectは全社規模の取り組みなのです。

--社内では、Connectはどのように捉えられているのですか。Connectは消費者に直接サービスを提供する流通チャネルなのでしょうか。

 Connectはハードウェアとコンテンツをエンド・ツー・エンドで結ぶものです。両者を統合することで、Connectは消費者が簡単に利用し、管理できるサービスを提供します。音楽分野での失敗を繰り返さないために、映像分野ではあらゆる問題点を迅速に解決していかなければなりません。これは全社規模の了解事項です。

 各事業部が協力して、コンテンツとハードウェアの統合を進めていかなければ、Connectのサービスは実現できません。このことは誰もが理解しています。米国でも本社でも意識改革が進み、今では技術やマーケティングに関する議論が毎日のように海を越えて行われています。

--ビデオ配信は市場に受け入れられると思いますか。

 PSPでは映画も観られるようになります。そのための機能がすでに搭載されています。また次世代のPSPにはハードディスク、フラッシュメモリ、あるいはそれに類するものが搭載されることでしょう。しかし現行機でも、メモリースティックを使えばPSPから動画を抜き出し、それを別のデバイスで楽しむことができます。これは革命的な機能です。しかもそれが(北米では)3月に登場するのです。

--しかし市場、つまり消費者は携帯プレイヤーでビデオを観たいと思うでしょうか。

 日本では発売から10日で50万台以上のPSPが売れました。PSPに対応する映画タイトルはまだ発売していませんが、特定の年齢層のユーザーにとっては、この機能はきわめて価値のあるものとなるはずです。

 私自身は携帯プレイヤーでビデオを観ることなど、考えたこともありませんでした。その画質には期待していなかったからです。しかし、PSPの画面は非常に鮮明です。映画のスクリーンをしのぐ品質です。われわれは飛行機の機内でも映画を観るではありませんか。あの悲惨な経験に比べれば、PSPは快適です。

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