インタビュー:山岸広太郎(CNET Japan編集部)
構成/文:永井美智子(CNET Japan編集部)
2004/08/20 10:01
携帯電話業界は今、変革期を迎えている。
KDDIの第3世代携帯電話加入者数が1500万件を突破し、NTTドコモのFOMAも500万件を突破するなど、第3世代携帯電話が普及期に突入した。KDDIが昨年一部の機種で定額制を導入したのをきっかけに、NTTドコモもFOMA全機種を対象とした定額制を導入。迎え撃つKDDIは価格設定を2段階にした「ダブル定額」に切り替えるなど、激しいシェア争いを繰り広げている。
この事業者間の争いをチャンスだととらえている人物がいる。それが、ヤフーのモバイル事業を率いるヤフー サービス統括部 企画室 プロデューサーの川邊健太郎氏だ。川邊氏は青山学院大学法学部在籍中の1996年に友人とともに電脳隊を設立し、WAP(Wireless Applicaton Protocol)やiモード向けのアプリケーション開発などを行い、モバイルインターネットの世界を切り開いてきた。電脳隊は2000年6月にピー・アイ・エム(P.I.M.)と合併。さらに同年9月にはヤフーと合併している。
「定額制の導入はヤフーにとって有利」と川邊氏は言い切る。定額制によってユーザーは料金を気にせずインターネットを使うようになる。そしてその入り口(ポータル)となるのがYahoo!モバイルだというのだ。
川邊氏はヤフー入社後、一貫してYahoo!モバイルの立ち上げを進めてきたという。ヤフーのモバイル戦略と川邊氏の現在の活動について話を聞いた。
--ヤフーとP.I.M.の合併以来、どのような活動をされてきたのですか。
2000年当時、ヤフーは完全に携帯電話に出遅れていました。1999年2月にNTTドコモのiモードが始まって、1年後には非常に大きな市場ができていたにもかかわらず、Yahoo!モバイルは立ち上がってもいなかった。
我々はヤフーと合併する前からモバイル事業のコンサルティングを行っていました。Yahoo!モバイルは2000年6月に立ち上がったんですが、P.I.M.とヤフーが合併してからは、モバイルコンテンツの事業展開やブランディングなどを手がけています。
最初の2、3年間はモバイルサービスをPC並みにするために、お客さんのニーズに合わせてサービスを拡張していくことで忙殺されましたね。すべての事業部にあるサービスをモバイル対応にしていって、20〜30のサービスを一気に立ち上げました。業界の中でもそれだけのサービスを立ち上げるのは珍しいというくらい、全部やっていった。
その頃はEverywhereチームというところに所属していて、各事業部を統括してモバイル事業を担当していました。ただ、昨年頃から主要なサービスがそろってきたので、六本木ヒルズに本社を移転したのをきっかけに、各事業部でモバイル対応をしてもらえるように変えているところです。PC向けのサービスを担当しているエンジニアのほうがサービス面でいろいろなことをよく知っているわけですから、その人たちにモバイルも担当してもらおうと思っています。
現在の我々のミッションは、携帯電話やユビキタスに関する全体の戦略を考えることです。あとは、PC向けの担当者がモバイルサービスもできるように共通ライブラリを作ったり、講習会を開いたりといったこともします。それから最近始めたYahoo!着メロなど、どこの事業部にも属さない携帯独自のコンテンツは我々が担当しています。
--現在所属しているサービス統括部というのはどういう位置づけですか。
テレビの編成局のようなものですね。各事業部を統括して、こういうサービスをしたほうがいいとか、共通のユーザーインターフェースを決めたりとか、モバイル版やPC版のトップページの編集をしたりとか。あとは特集も担当しています。
--Yahoo!モバイルの現状について聞かせて下さい。
だんだんユーザーも増えてくるようになって、ページビューもずいぶん伸びています。具体的な数値は出せませんが、携帯電話ではわりとすごい方だと思います。 My Yahoo!アプリのダウンロード数は50万件以下の数十万件といったところです。Yahoo!モバイルは一般サイトなので、ユニークユーザー数は推定値でしかないんですが、500万人より上の数百万人規模と見ています。ただ、Yahoo! JAPANのユニークユーザー数は月間3000万人以上いますから、PCと比較するとまだまだこれからいろいろやっていかないといけない。
--Yahoo!モバイルの収入源は広告ですか。
そうです。今のところ広告が大きいですね。最近は(有料コンテンツの決済ができる)Yahoo!ウォレットもモバイルに対応しましたので、課金のビジネスも入ってきました。それから、ビジネスサービスの設計なども行っています。公式サイトでなくても1つの事業体として成立していくことを証明しながら進めているところですね。
通信事業者とは協力しあうときもあるし、一般サイトとしてやるときはやる、というような感じでつかず離れずやってきました。2002年のワールドカップの時は公式サイトをドコモと一緒に作ったりとか、KDDIのEZwebでは公式コンテンツに入れてもらったりとか、いろいろなお付き合いをしていますね。
--通信事業者と距離を置く理由は。
やはりポータルですから、(iMenuなどのポータルを持つ事業者とは)相いれないですよね。そのあたりは残念です。ただ1つ1つのサービスで折り合いがつくものについては公式メニューとしてやっています。
最近のものではドコモのキャラ電があります。テレビ電話をするときに、自分の映像の代わりにアバターを表示するものです。ヤフーではYahoo!アバターというものをずっと手がけていまして、割と早い段階からドコモと話をして、やっと7月に立ち上げたところです。エンターテインメント系のサービスとしてはめずらしく早いうちから提供しています。
--ヤフーはモバイルをどのようにとらえているのですか。
Yahoo!というブランドは、インターネットのあるところにはすべて浸透していくべきであると思っています。携帯電話やPC、まだ手がけていないテレビなど、あらゆるところで使いやすいサービスをしていく。
ヤフーにとってモバイルはあくまで媒体の1つです。Yahoo!モバイルの売上は共通費用として各事業部に振り分けてしまっていますから、決算報告書にモバイル単体の数値は出てこないですね。モバイルを単体として抜き出す企業もありますが、それはユーザー課金を直接行う公式サイトだから成立している文化です。
ヤフーは一般サイトですから、各サービスがPCからも携帯からもテレビからも使えて、それぞれのサービスでどれだけ売上があるのかという点が重要です。ですから、売上もサービス主体で計上していくでしょう。
もちろん、モバイルの中のある事業を抜き出して紹介するというのはあると思うんですよ。たとえばYahoo!オークションでモバイルの売上が高いとか、そういうハイライトは今後あるかもしれません。
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