「ネット上に鉄道会社のビジネスモデルを構築する」--gumonji開発者に聞く - (page 3)

インタビュー:山岸広太郎(CNET Japan編集部)
構成/文:永井美智子(CNET Japan編集部)
2004年09月03日 19時55分

--ベータテストで分かった教訓などはありますか。

小林:「開放しすぎても荒れるだけ」ということがあります。そもそもgumonjiは、レベルを上げることしかできないゲームに対する疑問や、アバターのいる仮想空間の中でウェブのように自分の作りたいものを自由に作ることはできないかという考えからスタートしています。それが高じてベータ1ではユーザーに自由を与えすぎてしまい、結果として、他人が作ったものを壊すという全然創造的ではない行為をする人が増えました。

 この教訓を生かして適度な開放具合を追求した結果、今の形になりました。 ユーザーがお金を払って自分の権利を守ることもでき、話し合い次第で他のユーザーの創作物にも影響を与えられるというのが一番いい形ではないかと考えたんです。

 精密なコストシミュレーションをしてみたんですが、あまりにもフリーライダーが増えると結局はビジネスが破綻してしまう。フリーライダーであってもサーバを使うことに変わりはありませんから。例えばフリーライダーが10倍に増えて、それでも課金ユーザーの数が変わらないとしたら、その分のコストを課金ユーザーが全部負担することになる。それは健全ではないでしょう。

--ベータ1、ベータ2のユーザー数について教えて下さい。

小林:ベータ1は登録数が約4200人、最大同時接続数は500人強でした。ベータ2の登録数は約4000人、最大同時接続数は300人弱です。ベータ2では、捨てメールアドレスで登録を行ってユーザアカウントを濫造する行為を防ぐため、メールアドレスのドメインによる登録制限をしました。その結果、ベータ1と同程度の数値に落ち着きました。

  gumonjiでは仮想空間の土地が所有できますが、お金がかかります。もし大量の捨てアカウントを登録して、そのキャラクターがテスト期間中にもらった土地を正式サービスで誰かに渡すというようなことがあると、課金の平等性が破綻してしまう。このため、ドメイン制限を行いました。

--現在は何人くらいプレイが可能ですか。

中嶋:3〜4万人までは耐えられる設計です。ただ、土地の量を増やすにはメモリを増設しないといけないので、そのためにサーバを増設していきます。今はフロントエンド1台、バックエンド1台、ネットワークディスクが2台くらいで動かしていますが、これでは足りないというくらいにしていきたいですね。

--開発体制について教えて下さい。

小林:現在、gumonjiの開発メンバーは6人です。僕は中国に会社を作ってからはハッキング(プログラム開発)はやめて、企画、ウェブの開発、マーケティングのみに関わるようになったのですが、中嶋は社長業もやりつつ、上から下までプロジェクトを見ながら、ゴリゴリハックし続けています。

--中国にも支社がありますが、中国展開についてはどうでしょうか。

中嶋:中国にはオンラインゲームを開発している顧客がいますし、今後はさらに中国のオンラインゲーム会社が増えると見ています。ミドルウェア「VCE」の販売やgumonjiの中国でのサービスインを考えて支社を設立しました。中国では外国映画の公開が年間20タイトルまでという規制があり、今後は外国製のオンラインゲームも同様の規制が出てくる可能性がある。そのため、中国企業が増えてくるのではないかと見ています。

--中国は市場として魅力的だと。

中嶋:圧倒的に大きな市場があります。客単価は日本の5分の1から10分の1くらいで、月額100〜200円といったところです。けれども、プレイヤー数は日本の数十倍です。今、中国で一番人気のあるタイトルの同時接続数が200万人程度、登録IDは1000万件程度と言われています。ただgumonjiに関しては、日本で軌道にのせることが先決です。

小林:やはり母国語でないと、サポートなどの面で難しいですね。日本で成功したら米国や中国でも展開したいと思っています。

--gumonjiのゴールは。

小林:オンラインに砂場ができた、という感覚を持ってもらえればいいかなと。想像力を発揮できるところができたと思ってもらえれば嬉しいです。母親が子供に「このゲームをやりなさい」と言うようになってくれれば最高ですね。

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